表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第四部 “世界の仕組み”編
234/494

【第四部】第十九章 S―01のルーツ②

――黄昏の世界――



「あたしやカグラは、“この世界の力を引き出す”ことができるけど、あの子――“封魔の一族”は、逆に“この世界の力を抑え込む”ことができるのよ」


 S―01が鬼と“封魔の一族”のハーフということで、ソフィアからその“封魔の一族”について話を聞いていた。


「一族っていうからには、他にもいるんだよな?」

「でしょうね。あたしはあの子しか知らないけど。それに、話したがらないし気難しいからね、あの子」


 “あの子”というのはもちろんS―01のことだ。まぁ、性格ひん曲がってそうだもんな。神楽はS―01が大嫌いなので、評価は厳しめだった。


「ふーん。“封魔”ってことは、この世界の力を“魔”として封じるってことだよな」

「そうね」


「その手段は“門を閉じて力の供給を断つ”か。まぁ、確かに理にかなってるな」


 目的は別として、その力の有用性は確かに思えた。


「神楽は他人の“門”を借りて力を得られる。あたしは、“門”をくぐって力を持ってこられる。――どう? 見事にあの子と反対でしょ?」

「違いない」


 神楽とソフィアは顔を見合わせ笑い合う。


「俺達“御使いの一族”は、“力を借りて”向こうの世界の秩序を守るために力を尽くしてきた。邪神や悪霊を成敗したりしてな」

「うん」


「“封魔の一族”は、逆に、“力にフタをして”世界のバランスを守ろうとしたのかな? 強すぎる力は災いだからと」


 勝手な憶測だが。そうだとしたら、その気持ちには共感できるところもある。“この世界の力”は、あまりに強大過ぎる。


「そういう考え方もあるかもね。――ただ、あの子は私利私欲でその力をふるってる。そして、たくさんの犠牲を出してる」


 そう。ソフィアの言う通り、そこが問題なのだ。強大な力に対するカウンターとして力を持つのは抑止力となり、悪いことではないだろう。


 だが、奴――S―01は、自分勝手に、“ただの暴力”として力をふるっている。そして、その被害は甚大だ。力は、使い方次第で薬にも毒にもなる。これは、典型的な“毒”だろう。


「やっぱ放っておけないな……」

「でも、“その力”は本物よ。加えて、“鬼の力”もある」


 ほんと、頭が痛くなるな。


「そう言えば、あの時はいなかったな」


 研究施設に行った時、S―01の姿は無かった。交戦の覚悟はしていたんだが。


「あっ。こっちにいるわ」


 ソフィアが目を閉じてつぶやく。


「あっちの身体に意識を向けてるんだけど、あの子が帰ってきたみたい」

「なるほど。出払ってたってことか」


 間がいいんだか、悪いんだか。


「というか、そんなことできるんだな」

「カグラもできると思うわよ? やってみたら?」


 ソフィアに言われるがまま、目を閉じて意識を“向こう”に持っていく。すると――



「ご主人! いい加減起きるにゃ!! 十秒だけ待つにゃ。い~ち! に~い! さ~――」

「琥珀早まるでない!! “浮気”は後でこらしめればよかろう!!」


 なんか凄い危険な会話が繰り広げられていた。冷や汗が止まらない。


「ソフィア。そろそろ戻らないと」

「むぅ~……。そうね。ずっとここにはいられないもんね」


 あっ。ソフィアがむくれてそっぽを向いてしまった。


「また来るから。――って言っても、やってみなきゃわかんないけど」


 今も無意識下で来てたからな。


「わかった」


 ソフィアも一応は納得してくれたみたいだ。


「どうやって戻ればいいんだろう?」

「さっきの感覚で、もっと向こうに意識を持っていけばいいのよ」

「わかった。ありがとな」


 ソフィアにお別れの挨拶で手を振る。まだ少しむくれているが、ソフィアも手を振り返してくれた。


「ばいばい。――――またね」



 ソフィアに見送られながら、神楽は向こうの世界へと戻るのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ