表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第四部 “世界の仕組み”編
218/494

【第四部】第三章 門の先には

「まずはじめに。“ここ”は、カグラ達のいた世界とは“別の世界”です!!」

「はぁ?」


 あ、しまった。思わず素の反応が出てしまった。


 神楽が気まずそうにソフィアを見ると――


 案の定、ソフィアはふてくされていた。頬をふくらませてそっぽを向いている。


「いいよもう。信じないなら話さない」

「わ、悪かった! でも、いきなり常識を(くつがえ)すことを言われたら、こんな反応になるのも仕方ないだろ!?」


 謝るが、一応苦情は言っておく。「それもそうね」とソフィアはすぐに切り替えて続きを話し出す。


――だんだんソフィアの性格も思い出せてきた。昔から結構振り回されてたなぁと思わなくもない。



「カグラ。妖獣達の力が使えたでしょ?」

「ああ。うちの一族――“御使(みつか)いの一族”の権能――<神託法(しんたくほう)>だろ?」


 なぜか話が飛んだが、素直にうなずいておく。


「じゃあ、どうやって力を使えてるかはわかる?」

「“信頼関係を築いて”だな」

「それは過程の話よ。“原理”はわかる?」

「妖獣達は“門”を通じて力を得ているんだ。そして、うちの一族は、信頼関係を築いた妖獣と同じ門から力を得ることができる」


 神楽は自分の知る限りの情報をソフィアに伝える。ソフィアはまんぞくげにウンウンとうなずき、人差し指を立てた。


「じゃあ、“門”の先には何があるでしょうか?」

「? “力”だな」


 何を当たり前のことをと思うが、神楽はそのまま伝えた。しかし、ソフィアの反応は――


「半分正解! 正しくは、“この世界”でしたぁ!!♪」

「はぁ?」


(あ、しまった……。またやってしまった!)


「わ、悪い……」

「いいよ……。話を先に進めたいから、続けるね?」


 若干イジケつつも、ソフィアは話を続けてくれた。



「つまり、“門の先には世界が広がってる”の」

「なんでそんなことがわかるんだ?」


 素朴な疑問だ。だが、ソフィアは当たり前のように答える。


「それが私の能力。“門を開いて中と外を行き来できる”の。“精神体”でだけどね」


――神楽はどうツッコんでいいのか悩むのだった。



「じゃあ、何か? 今のソフィアは“精神体”?」

「そうだね。――あ! ちなみに、今のカグラもね」


 そう言われても、ぜんぜん実感がわかない。


「五感はあるし、こうして触り合えてるじゃん」

「――んっ」


 ふとソフィアの手を取る。ソフィアがピクリと反応した。スベスベだ。そして、温かさも感じる。


「ここでは精神体でもそういうことができるの。あたしも上手く説明できないけど、そういうものだと思っておいて」

「わかった」


 ちょっと引っ掛かるが、ソフィアが嘘をつく理由もない。神楽は素直にうなずいた。


「ちなみに、前までカグラは“身体を動かせなかった”し、“聴覚も不完全”だったでしょ? それはね――」

「ソフィアの力を不完全に使っていたから? ソフィアの“門”を通じて同じ力を使えたけども、無意識レベルでの使用でなおかつ力も弱かった?」

「正解。――もう。あたしが言いたかったのに……」


 またもソフィアはふてくされてしまった。今はそれよりも――


「力が使えたのは“信頼関係を築けてたから”。それはわかる。でも、弱まってて、今回復したのは?」

「力が弱まってたのは、あたしのことを忘れちゃってたからでしょうね。でも、“心は繋がってた”! だから力が使えたのよ!!」


 ソフィアがスゴく嬉しそうだ。面と向かって言われると、少し気恥ずかしい。


「じゃあ、弱まってた力が回復したのは……」

「カグラとあたしが“再び繋がった”のよ。“あの時”、神楽はあたしを思い出して名前を呼んでくれた。それに、あたしも“向こう”に出てたし、神楽が一時的にでもあたしに触れてくれた。だからまた繋がりができたのよ!」


 ソフィアのそのセリフで、神楽は“あの時”自分達に何が起こったのかを思い出すのだった。



――自分が致命的なダメージを負ったということも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ