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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第九十三章 金髪碧眼の少女

――バガッ!


 天井にあった上への通路をはしごを使い登った先には、再び天井があった。案の定、魔素回路は壊されていたので、神楽は<肉体活性>をして強引に出口の天井を殴り壊した。すぐに出て辺りを警戒する。


「また通路でありんすね」

「モグラみたいですの」


 稲姫とピノもすぐに通路から出てきた。直線的な通路が横に掘られていて、真っ直ぐ進めばいいみたいだ。


「行くぞ」


 神楽達は急ぎ先に向かった。


――発着場――



 通路の突き当たり、風が強く吹き込んでくる。神楽が飛び込み、素早く辺りを見回すと――


「――ひ、ひぃっ!」

「い、急ぎなさい! ――もう待てません! 今すぐ、各自飛び立ちなさい!!」


 大型飛行妖獣達が繋がれていた。朱雀の眷属どころか、朱雀よりもでかい。そこに白衣の研究員達が荷を乗せ乗り込むところだった。


 中央で指揮する偉そうな奴。あいつには見覚えが――


「ぬ、主様! “あの子”でありんす!!」


 稲姫が指差す先――


 “金髪の少女”が白い布にくるまれ、研究員達によって連れ去られようとしていた。飛行妖獣が飛び立とうとしている。


 神楽の口が、名を紡ぐ。



()()()()ッ!!」


 大声で“知らないはず”の名前を叫んでいた。そして、身体が無意識レベルで反応していた。


 瞬時に<肉体活性>して、金髪の少女のもとに駆けよった。そして高く跳躍し、低空を飛んでいた飛行妖獣に飛び乗る。


「――ひぃっ!」

「ば、化物っ!!」


 混乱する白衣の男達から少女を強引に奪い、神楽は発着場へと飛び降りた。


 着地し、少女に声をかける。


「ソフィア。俺だ。神楽だ……」


 少女の目が薄く開く。その眼は綺麗な“碧眼”だった。


「――カ、グラ……? ダメ! 逃げて!!」


 目覚めた少女の叫びと同時、神楽の頭に激痛が走った。



「――――あ? あああああぁぁぁぁっ!!!!」

「カグラッ!!」


「あなたはこちらです」

「ま、待てっ……!!」


 仮面をつけた女が、頭を押さえてうずくまる神楽から金髪の少女を奪い去る。神楽は襲い来る激痛をこらえながらも、仮面の女の足をつかんだ。――絶対に離すまいと。


「――驚きました。“脳を破壊されて”まだ動けるのですか」

「主様っ!!」

「S―06! 何をしているのですか!! そんな死に損ないは捨て置き、さっさと“その子”を連れて戻りなさい!!」


 偉そうな白衣の男――博士の指示で、S―06は自分の足をつかむ神楽の手を、もう片方の足で容赦なく踏みにじった。


 頭の激痛で<肉体活性>すらままならない神楽の手はたやすくほどかれる。


「ソ、ソフィア……ッ!!」

「カグラ……ッ!!」


 二人が手を伸ばし合うも、触れ合うことはかなわない。S―06は高く跳躍し、博士の乗る飛行妖獣に飛び乗った。


「追いかけてきたのが“お前で助かりました”。私が、何の備えもなくお前を取り逃がすとでも思ったのですか? 残念ですがお前は“廃棄”です。――さ、行きますよ?」

「カグラッ!!」

「何をしているのです!! さっさとこの子を“眠らせなさい”!!」

「はっ!!」


 そうして、博士とS―06、――そして、()()()()を乗せた飛行妖獣が空高く飛び立った。


「主様! 主様ぁ……っ!!」

「ピノも癒せるですの! お手伝いするですの!!」



 後には、死にかけの神楽と、そんな神楽を必死に癒す稲姫とピノだけが取り残されるのだった。



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