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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
204/494

【第三部】第八十三章 サイレン

――“マスカレイド”研究施設・第一研究室内――


 研究施設内にけたたましいサイレンが響き渡る。


「何事ですか!?」


 博士のヒステリックな叫びが室内に響き渡る。だが、それに答えられる者は誰もいなかった。


「わからないなら調べてきなさい!!」

「――は、はっ!!」


 白衣の研究員達は作業を中断し、状況確認のため急ぎ部屋を出ていこうとする。――が、ちょうどそのタイミングで扉が外から開かれ、伝令が室内に駆け込んできた。



「も、申し上げます! 施設内に賊の侵入を確認! 現在Aブロックにて、警備に当たっているナンバーズと交戦中! ですが、賊の中には強力な妖獣もおり、長くはもちません!!」


「賊は妖獣達なのですか!?」

「は、はい! ですが、人間も含む混成部隊です!!」

「人間も……? とにかく! さっさと叩き潰しなさい! 施設に残っているSナンバーズは!?」

「S―03、S―04、S―06が待機しております!」

「なら、すぐに――、いえ、S―06はこちらに寄越して、S―03とS―04を迎撃に当たらせなさい!!」

「はっ!!」


 伝令が急ぎ研究室を出ていく。博士は苛立ちから手近な椅子を蹴り倒した。


 Aブロックは、ここからそう離れてはいない。これ程近くに潜り込まれるまで賊に気付けないとは、警備の者達は一体何をしていたのか!!


「よりによって、こんな時に……! ――っ!!」


 そして、伝令に伝え忘れていたことを思い出す。近くの研究員達に向け、博士が叫ぶ。



「一人! S―01にすぐ戻ってくるよう、念話が使える者をつかまえて連絡してきなさい! 残りの者は、重要機密の持ち出し準備を! 最悪、ここを放棄しますよ!!」

「は、はっ!」


 研究員が一人、研究室から急ぎ出ていく。残りの者は、博士からの指示通り、撤退準備に入った。


「あの子が戦力を持ち出さなければ……! それに、東への増援も!! すべて裏目に出てます!! 忌々しいっ!!」


 机を蹴るが、足が痛みそれが余計に博士の苛立ちを煽る。


「大型飛行妖獣の準備を!! 裏口に準備しなさい!! “青龍の封印石”を持ち出します! ――それと、“この子”も!!」


 博士が、とある培養槽を指差し研究員達に告げる。


「しょ、承知しました!!」

「“目覚める”ことはないと思いますが、念のため、すぐ眠らせられるように準備しておきなさい!」


 培養槽から出すなんて滅多にしないことだ。何が起こるかわからない。備えはきちんとしておいた方よいだろう。博士の指示を受け、研究員がすぐさま備品の用意に移った。


「持ち出せない重要機密は――ええい、忌々しい!! 廃棄しておきなさい!! さあ、急いで! 時間はありませんよ!!」



 サイレンと博士の怒号が響き渡る中、研究員達は急ぎ撤退の準備を進めるのだった。



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