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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第八十一章 白い建物

【時は神楽達がトンネルを抜けた時点に遡る】


 東の山の麓にある洞窟内から地下に降り、長いトンネルを抜けた先、神楽達は出口の扉を発見した。


 行動指針を皆で簡単に共有した後、神楽が先頭に立ち、ゆっくりと扉を開いた。


 そこには――


 広大な地下空間に、白い大きな建物が視界いっぱいに広がっていた。照明が所々にあり、地下でありながら、あまり暗さを感じさせない。



――ズキンッ!


(――っ!!)


 頭が痛む。


(俺はここを知っている? いや、ここじゃない。だけど、()()()()だ……。ダメだ。今はこんなことで立ち止まってる場合じゃない!)


「主様……」

「悪い。大丈夫だ。――行こう」


 心配そうに神楽の服の袖をつかむ稲姫に笑いかけた後、神楽は気を引き閉め直して先に進む。


 建物は皆、白い壁で出来ている。そして、かなり高い。二階、もしくは三階建てかもしれなかった。


 そのおかげで、隠れながら進むのは楽だった。神楽を先頭に、皆が建物の裏に回り静かに進む。


 幸い、今のところ誰にも見つからずに進めている。目的はあくまで“青龍の封印石”の奪還なので、できる限り隠密行動を心がけたいところだ。


 やがて――


(あった)


 建物裏手の扉だ。神楽は振り返り、皆がうなずくのを確認すると、ドアノブに手をかけた。ちょうどその時――



――ピィーッ!


 辺りに笛が鳴り響き、思わず悲鳴を上げかけそうになる。


(バレた!?)


 神楽達は全周囲に気を配るが、誰かが近づいてくる気配はない。耳を澄ませると、騒ぎは今神楽達のいる建物裏手の反対側――つまりは正面で起きているようだった。


 目視できるよう、来た道を少し戻る。



 そこには、たくさんの人間の兵士がいた。百では済まない。二百はいるだろうか。その大軍が整列していた。


 そして、先頭の一人は仮面をつけローブを羽織っている。


 思わず叫びかけた稲姫の口を、神楽は慌てて自分の手で覆った。



「これより、兵を損耗したS―07の支援派遣として、このトンネルを通り合流する。その後はS―07の指揮下に入る。総員、隊列を乱すな」


 それだけ言うと、仮面の男を先頭に、およそ二百の兵が扉を抜けていった。


 神楽達が入ってきた扉だ。一歩遅ければ鉢合わせするところだった。神楽は自らの幸運に感謝した。目的である青龍奪還のためには、少しでも兵がここからいなくなってくれた方がいい。


 一気に二百もいなくなってくれたのは、予想外の幸運だ。ただ――


(そうだ。朱雀とその眷属に伝えておこう)


 『二百の軍隊が洞窟から出てくる』『敵のアジトを突き止めた。地下で、場所は――』と<念話>で伝えておいた。


「さて、これはチャンスだ。今のうちに行くぞ」



 皆がうなずくのを確認すると、神楽はすぐさま裏手の扉から建物内に侵入するのだった。



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