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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第六十章 嵐雲招来

――東都(ドンドゥー)広場――


 東都には嵐が吹き荒れていた。それだけではない。昼間なのに辺り一帯が暗かった。


 それもそのはず。天候が操作されているのだ。青龍がいない今、眷属の中で実質トップの神獣“青嵐”によって。


 青嵐はその名が示す通り、青い鱗を持ち、嵐を起こすことを得意とする龍だ。今実際そうしているように、嵐雲を呼び辺り一帯を巻き込むことは造作もない。


 これぞ青嵐の固有技能<嵐雲(らんうん)招来>だった。


 この自然の暴威の前に、人間の軍隊は成す術もない。近づくこともままならず後退し、青龍の眷属達による追撃を受けていた。



「まさかこれ程とはね。さてさて、どうしたものか」

「そんな落ち着いてる場合!? ああ、もう! こんな嵐さえ無ければわたしがやっつけてやるのに!」


 クレハが悔しそうに地団駄を踏む。隼斗やクレハ、そしてクレハのグループメンバー3人は守護長城の上にまで退避していた。ここにまで嵐の余波が来る。もはや災害だった。人の力で抗うのも難しいだろう。


 これで青龍ではないと言うのだから質が悪い。四神獣の青龍はこれよりも上なのだろう。そんな青龍と戦い攫った人間がいるなど、にわかには信じられなかった。


 住人は避難誘導して守護長城の内側に逃がしてある。これは有事の際を想定した行動であり、予定通りだ。壁内にも仮設だが、住環境は簡単にだが整えてある。だからと言って、ここを突破されて踏み込まれたら、それこそ逃げ場など無くなる訳だが。


 だから、何としても青龍の眷属達を撃退しなければならなかった。



 東都内には今もなお嵐が吹き荒れ、家屋に甚大な被害を出していた。これ以上破壊されたら、復興もままならないだろう。人間達は今すぐ青龍の眷属達を撃退する必要に迫られた。


「ど、どうしましょう、隼斗さん」

「一か八か、“アレ”をやるしかないかな」

「まさか“アレ”をやる気!?」


 クレハのグループメンバーであるリリカが隼斗に尋ねると、隼斗には何か手があるようだ。だが、『一か八か』というワードやクレハの驚きように、リリカは嫌な予感を覚える。


「大丈夫だよ。死にはしない。――ただ、アレをやった後はしばらく僕は使い物にならなくなるだろうから、クレハ、みんな、後は頼んだよ?」


 一体何なのだろうか。クレハはわかってるみたいだが、リリカは知らない。他のメンバー二人を見ても首を振るだけだ。


「わかったわ! 後のことはこのわたしに任せなさい!」


 大鎌を片手に、もう片手を自身の胸に当て、クレハは自信ありげだ。だが、自信の無いリリカからしたら、「む、無理です~!」と隼斗に泣きつきたい気分だった。そんなことしている場合でないのはわかってるので実際にはやらないが。


「じゃあ、すぐ始めよう」

「ええ!」

「「「はいっ!!」」」



 そうして、“宵の明星”が“嵐”に挑んだ。



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