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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第五十八章 報告

――“マスカレイド”中つ国拠点・研究室――


 博士の研究室内は、かつてない程のギスギス感により伝令の胃に多大なるダメージを与えていた。


 そのギスギス感――不機嫌オーラの発生源は当の博士だった。伝令の報告を聞き、まず発狂。そして、伝令は退出する機会に恵まれず、今もこうして博士の前で頭を垂れている。


 伝令はS―01の言伝てを博士に伝えただけだ。決して落ち度は無い。だが、だからと言って「じゃ、そういうことだから」と退散することを許してもらえる訳でもないのだ。


 S―01の言伝てはこうだ。


「博士。悪いけど、兵が減っちゃったから追加を頼むよ。東の山へのトンネルを使って急ぎでさ。このままじゃ中途半端になっちゃうからよろしく!」


 これを報告として違和感の無いように整えて伝えただけだ。それだけなのに……。伝令は内心で特大のため息をついた。



「ほんとにあの子はまったく! 兵を損耗させるなと言い含めたでしょうに!」


 博士はなおもプリプリとお怒りだ。だが、堂々巡りは困るので伝令は指示を仰ぐことに。


「そ、それでいかがいたしましょうか?」

「派兵するに決まってるじゃないですか! わかりきったことを聞くんじゃありません!!」


 博士の怒号が部屋に響く。耳を手で塞ぎたいが、それをしたら後が怖い。伝令は軽く感じる耳鳴りがおさまると話を続けた。


「では、直ちに追加派兵の手配をしてまいります。数はいかほどに致しましょう?」

「むぅ~……っ! 百――いや、二百送ってやりなさい! その代わり、確実に成功させろと! 失敗したら許さないと伝えなさい!!」

「かしこまりました」


 それだけ聞くと伝令はイソイソと出て行こうとする。だが――


「待ちなさい」


 立ち去ろうとする瞬間、呼び止められる。――あと少しだったのに!


「S―05も一緒に送りなさい。実運用テストをします」

「かしこまりました」


 今度こそ用が済んだとばかりに伝令は部屋を後にする。部屋を出て扉が閉まった瞬間――


――ドンガラガッシャン!


「ふざけるんじゃありませんよ!!」


 背後から派手な音とわめき声が聞こえ、伝令の身体が飛び跳ねる。大方、博士が周りの物に当たり散らしているのだろう。



 もう嫌だとばかりに伝令はその場を走り去った。



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