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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第五十四章 東都の混乱

――東都近辺・守護長城――



「ん?」

「どうした?」


 東都(ドンドゥー)近辺の守護長城の上で、物見が遠方に目を凝らす。


「いや、遠くに何か見えないか?」

「猪でも出たか?」

「いや、違うと思う。それに、数も――」


 何かがこちらに向かってくる。まっすぐに。だが、まだ距離があってソレが何かがわからない。


 しかし、だんだんと近づいてくるにつれ、ソレの“正体”がわかりだした。物見達は慌てて警鐘を鳴らす。


――“宵の明星”東都拠点――



「ハヤト!」

「うん。わかってる。行こう」


 都内に警鐘が響き渡っており、それはブラッククラスギルド“宵の明星”のホームにも届いていた。ロビーにいたクレハと隼斗は急ぎ外に出る。


 普段は人通りの少ない閑静な住宅街だが、今は騒がしかった。皆、警鐘に驚き家から出てきたのだろう。


「ねぇ。この騒ぎ、一体何?」


 隼斗とクレハを見つけた貴婦人が不安そうに問いかけてくる。この辺りは高級住宅街であるため、ここらに住む人達の身なりも他とは一線を画し立派だった。


「わかりません。これから確認に行くところです」

「おばちゃんは避難所に向かった方がいいんじゃない?」

「え!? 妖獣が攻めてきたっていうのかい!?」

「まだわかりませんが、その可能性はあります。最寄りの避難所は――」


 隼斗は簡潔に避難先を貴婦人に教えると、すぐさま現場に向かう。


「あ、あんた達は行かなくていいのかい!?」

「ご心配なく。――僕らは“護る側”なので」

「そういうこと♪」


 不安そうに見つめてくる貴婦人にそれだけ言うと、隼斗とクレハは、特に騒ぎの大きい都の広場に向けて駆け出すのだった。


――広場――



「ど、どういうことだ!?」

「落ち着いてください! 大丈夫です! 慌てず避難を!!」


 広場につくと、民衆がパニックになっていた。それを軍人が丁寧に避難誘導している。


「何があったんだい?」

「今はとにかく―― !! し、失礼しました! “妖獣”です! 妖獣達が襲ってきたのです!」


 軍人は、尋ねてきたのが隼斗だとわかると直ちに態度を改め、状況を伝える。軍属にも“宵の明星”の高名は知れ渡っていた。


「ふ~ん。場所はこっち?」


 クレハが東門のある方を指差すと、「そ、その通りです!」と軍人が敬礼を取る。どことなく顔が赤い。クレハに見惚れているようだ。『クレハは大人しければ可憐』だというのは、ギルド内でも共通認識だ。――“大人しければ”、だが。


 戦時中に随分と余裕があるなと隼斗も苦笑いになる。


「ありがと。――行こ、ハヤト」

「ああ。――ありがとう」

「いえ! お気をつけて!」



 教えてくれた軍人に礼を言うと、隼斗とクレハは東門に向け駆け出した。



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