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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第三十五章 闖入

――“中つ国・西・白虎(ビャッコ)の聖域”――



「馬鹿な……()()は何だ?」

「お下がり下さい白虎様! ここは私が!」


 “中つ国”西の山中奥深く。緑や水に恵まれた白虎の聖域に、上空から見知った闖入者(ちんにゅうしゃ)があった。


――いや、見知った存在ではあるが、問題はそこではない。大の人間嫌いの朱雀が、人間を背に乗せ、こちらに向かって来ているではないか。


 今この場には、白虎の他、猛鋭を始めとした軍の諸将が集まっていた。いずれも神獣であり、一角の将だ。諸将が軍備状況を白虎に報告しに来ていた真っ最中だったのだ。


 突然の事態に場が色めき立つ。本来なら喝を入れて落ち着かせる白虎をして、この異常事態に動揺を隠せていなかった。猛鋭ら諸将が白虎をかばうよう、前に出た。



「ふわぁ~。虎さんがいっぱいでありんす……」

「物々しいね。――十中八九、僕らが原因だろうけど」


 朱雀の背に乗り、神楽達は上空から白虎の聖域を見下ろす。強そうな妖虎がわんさかいた。こちらを見て警戒態勢を取っている。エーリッヒの言う通り、自分達人間が来たのが原因だろう。


――怒らせたらこの場が俺達の墓場になりそうだ。神楽は喉をゴクリと鳴らした。


「では降り立つぞ。――よいか? 決して武器を抜くな。敵意を向けるな」

「もちろんだ。そんな命知らずはここにいないから安心してくれ」


 朱雀の忠告に神楽は即答で応える。自殺願望のある者はうちの仲間にはいない。それは断言して言えるからだ。


――強いて言うなら、自由奔放な琥珀のことは、少し気にかけておこう。今もまるで気にしたそぶりをみせていない。


 朱雀は上空から滑空していき、白虎の聖域に降り立った。



「止まれ! 朱雀様に何をした!!」


 朱雀が白虎の聖域に降り立った直後、周囲もれなく妖虎達に取り囲まれた。ネズミ一匹逃さない程の厳重な警戒だ。


 さて、どう説明していこうかと神楽が悩むと同時、朱雀が口を開いた。


「待て。余は特に何もされてはおらぬ。白虎と話をしに、訳あってこの者達を連れて来たのじゃ」


 朱雀がありのままを伝えると、取り囲む妖虎達から発せられる動揺の気配を神楽は感じ取った。


 妖虎達はどうしたものかと互いに顔を見合わせている。そんな時、巨体がこちらにのしのしと近づいて来る気配があった。



「よい。通せ」

「白虎様……」


 “四神獣”が一角――“西の白虎”。その名の通り、白い虎だった。その巨体にはどれだけの力が備わっているのだろう。ただ大きいというだけでなく、引き締まった体躯は生物としてのスペックの高さを物語っていた。


「俺は白虎。そこの朱雀と同じ、“四神獣”の一角だ。――朱雀、これはどういうことだ?」


 自己紹介は朱雀の背に乗る神楽達に向けて。そして、説明を朱雀に求めた。


「こうも囲まれては、この者達も委縮(いしゅく)する。もしこの者達が暴れるのであれば、余が焼き払おう。まずは包囲を解かせるのじゃ」

「お前ら、下がれ」


 朱雀の言う通り、白虎は部下を下がらせた。妖虎達が警戒がちに後退り、白虎の後ろ横一列に並んだ。


「では、まずは紹介からしようかのぅ。この者達は――」



 朱雀と神楽達は、神楽達の紹介と共に、事の経緯を白虎に語り聞かせるのだった。



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