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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第二十五章 神楽達の方針相談

――“中つ国”人界西部・隠れ里・春と楓の家――



「それで神楽が――」

「ルーヴィアル、気を付けろよ。あいつは“天然ジゴロ”だぞ」

「? 何だそれは?」

「つまりな――」


 神楽達が縁結びを済ませて春と楓の家に帰ってくると、そう時を置かず、別行動で情報収集をしていたエーリッヒ達も帰ってきた。そして、今は皆で夕食を取っている。


 今日も豪勢な食事が振舞われていた。今日は無事に縁結びを終えられたお祝いだ。神楽達も料理を手伝い、所狭しと料理が並べられていた。


 ルーヴィアルがラルフとエーリッヒに今日あったことを話して――もとい、愚痴っていた。酒を飲みながら、「神楽がサンクエラを――」と、今日の縁結びでの出来事を未だに引きずりながら二人に語り聞かせていた。ラルフがよからぬことをルーヴィアルに吹き込みそうで、耳をそばだてている神楽はソワソワする。そんな時――


「もう! ルーヴィアル! アレは違うと言ったでしょう? 男の嫉妬はみっともないわよ?」

「ち、違うんだサンクエラ。俺はただ――」


 サンクエラが参入し、ルーヴィアルの気勢が削がれる。これで何とか収まりそうだと、神楽はホッと胸を撫でおろした。したのだが――



「で、ご主人のことにゃんだけど――」

「やっぱりもっと気をつけるでありんすよ。これからは――」

「うむ。以前よりもタラシになっておるのぅ。やはりここは――」

「……危険。私も――」


 女性陣も同様の会話をしていた。神楽としては、針のむしろにいる気分だ。そんな神楽を楓がジト目で見ており――


「お兄ちゃん。まさか、他にも女の子を引っ掛けてないでしょうね?」

「な、なに言ってるんだ。――そんなこと、あるわけナイダロ?」

「神楽。すぐ態度に出るところ、直した方がいいわよ」


 春からもダメ出しされる。特に悪いことをしたつもりはないのだが、神楽はこれからはもう少し周りにも気を遣おうと反省した。――反省しただけで、どれだけ効果があるかはわからないが。



「じゃあ、これからのことについて相談しようか。今日、色々と調べて来たんだけど、まずはその情報共有から」


 夕食が済み、皆で後片づけを終えた後、神楽達は居間のテーブルを囲う。楓と春は気を遣って部屋に戻っていった。



「街道で、“西都”から来て関所に向かう行商人を捕まえて話を聞いたんだけど、戦の準備の真っ最中で、都の中は物々しいらしいよ」

「国民は皆動員されてるみたいだな」

「……軍は、東西南北に分かれて、それぞれの四神獣を相手取る」


 エーリッヒ、ラルフ、レインが情報を補足しながら教えてくれる。


「東西南北って――」

「うん。この“中つ国”で“人界”は、中央の首都“央都”を囲う様に、東西南北四つの都で囲まれてるんだ。そして、都間は“守護長城”という城壁で隈なく囲われている。で、その都がそれぞれ近くの神獣を相手取ると。つまり――」


 エーリッヒの説明によると次の通り。


 北……“北都” 対 “玄武”

 南……“南都” 対 “朱雀”

 西……“西都” 対 “白虎”

 東……“東都” 対 “青龍の眷属達”



「なるほど。四方の都を要所として、妖獣の突破を防ぐんですね」

「ああ。それぞれ、かなりの数――十万を超えるレベルの兵を動員してるみたいだな」

「……噂によると、“ブラック”クラスギルドの参加表明もあったとか」


 随分大規模な戦闘になりそうだ。でも――


「俺は直接戦争に参加するつもりはなくて、当初の目的通り、“青龍”をさらったという“マスカレイド”――そしておそらく主犯の“シーラー”を捜し出し、“青龍”奪還に注力すべきと考えてます」

「うん。事の発端が“青龍の拉致”に起因してるから、戦争の仲裁手段としてもいいと思うよ。でも――」

「開戦間近でそんなことしてる余裕があるかってことだな。捜してる間に戦争が始まって決着がついちまったらそれまでだしな。それに、そいつらがどこにいるかわからないのが問題だな。――そもそも、そいつらが犯人なのは間違いないんだろうな?」


 ラルフから現実的な意見や問い掛けが来る。こういう時、問題点をバシッと言ってくれるのは助かるな。神楽はラルフに頷き返し――


「ええ、そのはずです。ここに来るきっかけになった楓との念話でも――そうだ、楓に来てもらいましょう」


 神楽は席を立つと楓の部屋の前まで行き、扉をノックする。間もなくして扉が開き、楓が顔を見せた。


「何? どうしたの?」

「『青龍が奴らに拉致された』という情報について詳しく聞きたい。すまないけど、こっちに来てくれるか?」

「いいよ」


 楓は一度部屋に引っ込むと、しばらくして皆のいる居間に来てくれた。テーブルに着くと皆の中心に座り――


「じゃあ話すね。あの時のことを――」



 楓が皆に説明を始めた。



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