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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第二十一章 “宵の明星”

――ギルド“宵の明星”中つ国拠点――


 

 中つ国“人界”、東の要所――“東都(ドンドゥー)”の一角に、ブラッククラスギルド“宵の明星”の中つ国拠点があった。


 高級住宅街の一角、辺りも暗くなった頃。通りに他者の気配はなく、男は靴音を響かせながら舗装された道を歩いて行く。


 やがて男は一際豪勢な屋敷にたどり着くと、玄関扉にかかっている鍵を勝手知ったる素振りで解錠し、中に入っていく。


 それもそのはず。この男こそが、エクスプローラー協会の誇る最高峰のブラッククラスギルド――“宵の明星”のギルドマスターだった。


 厳密に言うとブラッククラスの上には、パープルクラスという特別枠が設けられている。だが、パープルクラスは過去に偉業を成し遂げた者に与えられる栄誉職のような者で、極少数、かつ、現役を退いている者も多く、実質的な最上位はブラッククラスと言えた。


 男は屋敷に入ると、他のメンバーとの交流場所であるロビーへと足を運んだ。



「ハヤト! お帰り!」

「やぁ、クレハ。元気にしてたかい?」


 ロビーに入ると、黒を基調としフリルをふんだんに付けたドレスに身を包んだ少女が走り寄ってきて男に抱きついた。歳はまだ十五というところだろうか。歳相応の純粋さとあどけなさを残している。


 男は慣れた素振りで少女――クレハを抱きとめ、その頭をなでる。


「もう、マスター。またそうやってクレハを甘やかさないでください」


 ワインレッドのドレスを着こなす妙齢の女性が近寄ってきて男を(たしな)める。男に抱きつきながらクレハが女性に“あかんべー”をすると、女性のこめかみに青筋が浮き上がった。


「まぁまぁ。――ヴィクトリア、僕の留守中に問題は無かったかい?」

「はい。“準備”はつつがなく。相変わらず、“犯人”の居所は捜索中ですが」

「そうか。――まぁ、それはルーカス達に任せよう」


 ルーカスが聞いたらキレそうな程の丸投げっぷりだが、これは信頼の証でもある。それを知っている仲間だからこそ、特に異論も挟まない。そんな時――



隼斗(ハヤト)。それで、どうだった? “集会”の方は」

「今から話すよ。――みんな、集合~!」


 酒の置かれたカウンターでグラスを傾けていた筋肉質な男が、クレハに抱きつかれたままのギルドマスター――隼斗に声をかける。ハヤトはクレハの腕を優しく解き、手をパンパンと打ち鳴らしながら皆に集合を呼び掛けた。


 ロビーの大きなテーブルに皆が集まる。テーブルを囲うようにソファーが(しつら)えられており、それぞれが“グループ”に別れて座った。


 ギルド“宵の明星”の構成員は次の通り。


 ギルドマスター“閃光(ブリッツ)”隼斗

 副マスター兼参謀“緋色の婦人(ミス・スカーレット)”ヴィクトリア

 “薔薇乙女(ローズメイデン)”クレハをリーダーに他メンバー三人

 “重壊(ヘビィスマッシャー)”ガイルをリーダーに他メンバー五人

 “放浪者(ワンダラー)”ルーカス

 “(オボロ)刹那(セツナ)をリーダーに他メンバー四人


 今この場には、ルーカスと刹那のグループを除くメンバーが勢揃いしていた。


「待たせてごめん。それじゃあ、始めようか」



――そうして、“宵の明星”のこれからの行動方針を決める会議が始まった。



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