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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第十八章 これからは“神楽”に

――“中つ国”人界西部・隠れ里・春と楓の家――



「それにしてもややこしいな。“アレン”――いや、“神楽”なのか? つまりはどっちなのだ?」


 雷牙からだった。酒が回っていることもあり、いつもより遠慮が無い。


「私もあんたが“アレン”って呼ばれてるのには違和感があってねぇ」


 春も参戦する。アレンは「う~ん」と腕を組み少し悩むが――


「どっちでもいい」


 思ったままを口にした。


――“アレン”と“神楽”。どちらも大切な人が付けてくれた大切な名前だ。どちらで呼んでもらってもいい。特に混乱しないし、とアレンは割り切ってそう答えるが――


「いや、其方(そなた)がよくても、皆が困るのだ」


 雷牙から冷静なツッコミが入った。そして、折角なので皆にも意見をもらった。



「“神楽”でいいんじゃない? その“お世話になった人”には感謝してるけど、せっかく私とお父さんが一生懸命考えて付けたんだし」

「“アレン”はやっぱり違和感あるよね」


 神楽派……春、楓


「一つ困るのは、エクスプローラー協会に“アレン”で登録しちゃってることだね。“神楽”だと今後、混乱するかも」

「まぁ、そうかもな」

「……私はどちらでも構わない」


 便宜上アレン派……エーリッヒ、ラルフ


「うちは“ご主人”って呼んでるからどっちでもいいにゃ」

「わっちも。“主様”は主様でありんすから」

「わらわも“我が君”と呼んでおるしの」


「我はどちらでもよいぞ? どちらかに決めてくれさえすれば」

「俺もだ。――というか、俺は別に混乱しないし、両方でも構わない」

「私もルーヴィアルと同じね」


 どちらでもいいが一つに決めてくれ派……雷牙

 どちらでもいい派……妖獣三人娘、レイン、ルーヴィアル、サンクエラ


 まとめるとこんな感じだった。



「えっと……結構、皆どうでもよさそうなんだけど……」


 アレンは思ったままを口にした。春と楓、雷牙くらいじゃないか? こだわってるの。エーリッヒ達の言う、エクスプローラーへの登録情報がアレンというのも気にはなるが――


「エーリッヒさん。エクスプローラーの登録情報って更新できないんですか?」

「できるよ。協会に行けば」


 なら“神楽”に更新してもいい訳だ。じゃあ、もう――



「じゃあ、“神楽”にしておくか」

「そうよ! それがいいわよ!」

「うん! やっぱり、そっちの方がしっくりくる!」


 ルーカスのいない中、春や楓達と決めればこうなるのは分かり切っていたが、アレンは今後、“神楽”と名乗ることにする。


――ルーカスなら、笑って許してくれそうだというのもあった。むしろ――


『そうか! よかったじゃねぇか! ――自分を取り戻せたんだな』


 と、歓迎してくれそうにも思う。数年という短い期間だったが、アレンの中でのルーカス像はそうだった。――おっと、これからは“神楽”だったか。


「――じゃあ、皆もこれからは俺のこと、“神楽”と呼んでくれ」


 否やを唱える者はいなかった。皆が神楽呼びを始める。


 エリスやカールにも今度<念話>で伝えよう。



 名前を統一しただけだが、神楽は過去の自分を幾らかでも取り戻せた気がして、少し安らいだ。



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