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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第十三章 山中の逃走劇

――“中つ国”西の山中――



「――ちょ! もう少し平坦な道は無いですか!?」

「妖獣のテリトリーだからね! それは贅沢(ぜいたく)ってもんさ!!」


 西の山に入り、東に進み出したまではいいものの、アレン達は妖獣達に見つかり追われていた。悪路で馬車がガタつく中、御者のエーリッヒが(たく)みに操車し、東にひた進む。


 アレン達を追ってきている妖獣は“妖虎(ヨウコ)”。――そう。ここは、四神獣“西の白虎”の勢力圏内だった。聖域からは距離があるから大丈夫だろうと思っていたが、考えが甘かったみたいだ。


 “ヨウコ”呼びは稲姫の“妖狐”と被るから紛らわしい。白虎の眷属と言うから白いのかと思いきや、オレンジと黒を基調としたオーソドックスな色合いをしていた。どうやら、白は白虎固有の特徴みたいだ。


 それはともかく――


 サンクエラが馬車の周囲に<結界>をはってくれているので、今のところ実害は無い。幸い神獣クラスはいない様で、幾度も攻撃を受けたが、サンクエラの結界は突破されていなかった。


――いや、実害が無いと言うのには語弊(ごへい)がある。今も妖虎達は続々と集まりつつあり、これ以上増援が来るのは望ましくなかった。



「いっそ蹴散らすにゃ!?」

「それは最終手段だ!! 開戦間近だとは言え、俺達がきっかけになりたくはない!」


 無断で縄張りに侵入しておいてどの口がという感じではあるが、話を持ちかけたところで、はいそうですかと通行許可など出るはずもない。急ぐ以上、突破はやむ無しなのだ。


「何で猫科の動物って、“脳筋”ばかりなんでありんすか!?」

「――稲姫ちゃん!? それは、うちも含まれてるにゃ!?」


 思わずもれてしまったのだろう。稲姫が周囲の妖虎達を見ながらそう叫ぶ。


 妖虎達の攻撃手段は、琥珀同様、気での肉体強化に特化していた。強靭な肉体での体当たり。そして、牙や爪。それらで結界を突破しようと幾度も攻撃を加えてくる。


 サンクエラの強固な結界が無ければ、今頃みんな妖虎達の胃袋の中だったかもしれない。そう考えると怖気(おぞけ)が走る。


 しかし、アレンの見立てによると、こいつらよりも琥珀の方が強そうだ。虎よりも強い猫って一体……。まぁ、白虎や他の神獣クラスになるとわからないが。


 狼達は、山に入った当初は散開して周囲の警戒に当たっていたが、今は馬車のすぐ近くを並走している。これは、サンクエラの結界をなるべく小さく、そして強固に維持するための措置(そち)だった。


 そうして、なおも東にひた進み、もう少しで山を抜け“人界”に出ようかという時。――それは現れた。



「――キャアッ!!」

「サンクエラッ!!」


 結界に今までに無い程の重い一撃が加えられ、思わずサンクエラが悲鳴を上げた。慌ててルーヴィアルが抱き支える。


 結界はまだ破られていないが、“(きし)む”のをアレンは感じ取っていた。


「やっぱり来たか。――妖虎の“神獣”だな」

「身体は大きいが、色は他と変わらぬのぅ。白虎では無い、“普通の”神獣なのじゃろうて」


 アレンも青姫の意見に同意する。“普通”とは言っても、サンクエラの結界を破りかねない程の攻撃力を有している。決して、油断していい相手ではないだろう。


「あいつを撃退するぞ!!」

「わかったにゃ!」

「うむ! 腕がなるのぅ」



 アレン達は、妖虎の神獣に相対した。



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