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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第三部 “中つ国動乱”編
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【第三部】第二章 トニトラス山脈を目指して

【翌朝】

――“青ノ翼”ホーム・玄関――



「では出立しますよ。皆、馬車に乗ってください」

「遠出になりますし、やっぱり荷物がだいぶ増えますね」


 皆が馬車の荷台に荷物を運び乗せた結果、結構な積載量になっていた。今回は別大陸に行く訳だし、かなりの長旅になることを見越してだ。


「こればかりは仕方ないね。とにかく、出立しよう。時間が惜しいからね」


 アレン達は馬車の荷台に乗り込み、エーリッヒが御者台について出発した。



「道順はどうするんですか?」

「まず、街道を南下しリムタリスに入る。そこで、不足している物を買い込んだら、東門を出てトニトラス山脈に向かおう」


 “セラーレの森”への旅の直後のこともあり、備品が不足してるそうだ。それに、対角で最短ルートを突っ切るよりも、人の通りが多い街道を通る方がモンスターに襲われるリスクも低いとの判断だ。アレンもエーリッヒの判断が適切に思う。


「疲れたら言ってください。御者、代わりますよ」

「わっちも!」

「うちもにゃ!」


「うん、ありがとう。――琥珀はちょっとワイルド過ぎるから、また今度にしておくね」


 前回、琥珀の操車がスピード出過ぎでヒヤヒヤものだったから、エーリッヒも警戒している。琥珀は不満顔だが、ここは皆の平穏のためにも我慢してもらうしかない。



 そうして、馬車は南下していった。


――リムタリス――



「じゃあ、僕達は必要な物を買ってくるから、皆は休んでて」


 アレンは「買い出し、代わりますよ」と申し出たが、「細かいところもチェックしたいから」と、エーリッヒ達は三人で買い出しに出て行った。荷馬車の荷台にて――



「ここは“人界”の町か? 人が多いな」

「ええ。スゴい活気ね」


 ルーヴィアルとサンクエラはもともと“神界”にいて、“人界”に隠れ移った時も“セラーレの森”奥深くという僻地(へきち)にいたから、これ程の数の人間と会うのは初めてとのことだ。珍しいのだろう。


「何か食べたいものはあるか? 買ってくるけど」

「それじゃ、焼き鳥が食べたいにゃ!」

「わっちはお菓子!」

「うむ! わらわも名店の菓子がよいのぅ」

「ルーヴィアルとサンクエラに聞いたんだが……わかったよ」


 アレンは馬車を降りて、商店街に行き皆のリクエストの物を買って馬車に戻った。



「ほう……。中々うまいではないか」

「ええ。おいしいわ。ありがとう、アレン」

「どういたしまして」


 皆が喜んで食べてくれているのを見ると、アレンとしても嬉しい。そうこうしてる内に、エーリッヒ達も戻ってきた。


「お待たせ。――おや、出店の食べ物か。被っちゃったけど、後でおやつにでもしてよ」

「あ、エーリッヒさん達も買って来てくれたんですね。ありがとうございます。後で、皆で頂きますね」


 どうやら、エーリッヒ達も気を使って、買って来てくれたみたいだ。どれも美味しそうだし、余分にあっても全然困らないだろう。


「じゃあ、東門から出てトニトラス山脈を目指そう」


 エーリッヒが馬車を東に走らせ、先日訪れたトニトラス山脈へと向かった。


――途上――



「今日はここで野宿しようか」


 暗くなってきた頃、皆で野営をした。琥珀がまたどこからか獣を狩ってきてくれ、ラルフが調理して極上の一品に仕上げる。見事なコンビネーションだった。


「やっぱりラルフの肉料理は絶品だな。料理人になれるんじゃないか?」

「それもいいかと思ってるんだ。引退したら、そうすっかな」

「引退はまだまだ先になりそうだけどね」


 皆でワイワイと食事をする。


「……わ、私は“おっぱい”出ないから!」


 声のする方を見ると、スペルークスを抱いてるレインがいた。スペルークスがお乳を所望している様で、レインがあたふたしていた。


「あらあら。まだ足りなかったのかしら。――じゃあ、私があげるわね」


 サンクエラがレインからスペルークスを受け取り、授乳を始めた。思わずアレンはじーっと見てしまうが――


「アレン。ちょっと話をしようか」


 不意に、背後から肩に手を置かれ、アレンがビクンと跳ね上がる。肩越しに振り替えると、ルーヴィアルだった。


 笑顔だが、こめかみに青筋が立っている気がする。はい、すみません……でも、男の(さが)なんです……。アレンはしばらく、ルーヴィアルから遠回しの説教を受けた。


――トニトラス山脈――



「やっと着いたか。――この後はやっぱり東に抜けるんですよね?」

「そうだね。途中、ガラート村があるから、必要な物を買うために寄りますが」

「おお! “雷牙”に会えるにゃ!」

「楽しみでありんすね!」


 ガラート村に立ち寄えると聞いて、琥珀と稲姫が歓喜する。


「ふむ。わらわも会ってみたいのぅ。中々の強者なのじゃろう?」

「ああ。<雷操作>ができる“妖狼の神獣”で、力もそうだけど、高潔でリーダーシップがあるから、スゴく頼りになるよ」


 青姫は雷牙に会ったことが無いので興味津々の様子だ。アレンも会えるのを楽しみにしている。元気にしているといいのだが。



 そうして、アレン達はガラート村へと向かった。



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