表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
105/494

【第二部】第四十九章 会得 <蒼炎剣>/<紫電剣>

――“セラーレの森”――



「人の手つかずの自然って感じですね」

「こんな辺境まで来る方が珍しいからね。“神界”に行く命知らずなんて、まずいないし」


 アレン達は朝一番に“セラーレの森”に入り、草木をかきわけ先へと進む。木々が生い茂り、人の通る道が整えられている訳でもない。まさに野生という感じだ。


「皆さんも、ここは初めてですか?」

「……うん。知識としては知っていたけど、これは想像以上」


 レインさんも歩き(づら)そうだ。杖の先を木に引っ掛けない様、胸元に抱えていた。


「デバイスに<結界>の場所が記録されてるから迷わないけどよ。――木々が鬱陶しいな」


 ラルフは皆の先頭を進み、大剣で邪魔な木の枝を切り飛ばしながら、道を作ってくれていた。


「我が君! モンスターが来るぞ! 北からじゃ!」

「わかった! 助かる青姫!」


 上空から監視をしてくれている青姫から報告が入る。皆がモンスターの襲来に身構えた。



「<旋風乱撃(せんぷうらんげき)>!!」


 ラルフが襲い掛かってきたモンスター――“フォレストベア”を武技<旋風乱撃>で寄せ付けずに圧倒する。


 剛力により、間断なく幾度も繰り出される大剣でモンスターを間合いの内に入れず、フォレストベアが一方的に斬り刻まれ――そして、倒れ伏した。



「<エンチャント―ウィンド―>、<瞬迅>」


 エーリッヒは魔法で直剣に風を纏わせ、武技<瞬迅>で強化した敏捷を活かし“フォレストウルフ”を斬り刻んでいた。


 フォレストウルフは敏捷さと牙の鋭さが要注意のモンスターだが、相手の土俵でさらに上回って見せるエーリッヒの妙技には驚かされる。間もなく、フォレストウルフも地に沈んだ。



――負けてられないな。


 アレンは目の前に迫りつつあるモンスター――“エルダートレント”に向き直る。



「そう言えば、“こうする”とどうなるんだ?」


 アレンは思いついたことを試してみる。双剣を抜き――



「<蒼炎>」


 双剣に<蒼炎>を纏わせ、<肉体強化>で跳ね上げた脚力をもってエルダートレントの懐に瞬間移動の如く踏み込んだ。そして、双剣を振るうこと二度。



「グオォォォッ……!!」


 全身を<蒼炎>に包まれたエルダートレントが身じろぎしながら焼き尽くされる。後には灰が舞い散った。

 


「いやぁ、君には驚かされてばかりだけど……青姫の<蒼炎>って、武器にも宿せるんだね」

「身体に纏えるなら武器にもって考えて、試してみたんですよ。思っていた以上に敵への炎上効果もありましたし、成功ですね」


 モンスターの群れを倒し終え、皆がアレンの元に集まる。双剣に宿した<蒼炎>はアレンが念じるだけで解除することが出来た。剣の状態にも特に異常は見られない。便利な能力で汎用性が高そうだ。



「我が君! 流石じゃ!」

「――わぷっ!」


 例の如く上空から胸元に飛び込んでくる青姫を抱き留め、アレンは勢いを殺せずその場で横向きに一回転する。青姫は上機嫌で今にも飛び上がりそうだ。


「離れるでありんす~!」


 これまた例の如く稲姫が青姫を引き剥がしにかかる。だが、今回は青姫も素直にされるがまま剥がされた。


「うむうむ。我が君の状態が想ったよりも良くてな。つい興奮してしまったのじゃ」

「心配をかけてすまないな。でも、見ての通りだいぶ調子がいいぞ」


 何度か双剣に<蒼炎>を付与して解除してを繰り返す。思うがままに操れ、特に違和感も無い。


「まったく、ズルいな……。俺にもよこせよ」

「……この前見せてくれた<紫電>も纏わせられるの?」


 レインの疑問に応える様、アレンは早速試してみる。<蒼炎>の時と同じ要領で――



「<紫電>」

「……できた!」


 双剣に紫電が纏った。アレンが何度か素振りしても、紫電はそのまま剣に付与されている。レインも手を叩き喜んでくれていた。


 ならこれはどうかと、アレンはまた思いついたことを試してみる。すると――



「双剣それぞれに<蒼炎>と<紫電>を分けて纏わせられるみたいです」

「器用だね。――いや、スゴく便利な力で妬ましいよ」


 本人の言う通り、称賛を通り越し、嫉妬がエーリッヒからアレンに向けられる。


 右手に<蒼炎>の宿った剣を、左手に<紫電>の宿った剣を持ち、アレンもそのカッコ良さにご満悦だった。



 こうして、アレンは応用技能――<蒼炎剣>と<紫電剣>を会得した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ