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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第四十八章 馬車の御者

――北上中――


 それからしばらく馬車での旅は進んだ。


「エーリッヒさん、御者(ぎょしゃ)のやり方、教えてもらえませんか?」

「アレンも興味があるのかい?」

「ええ。今後に活かせるかと思いまして」


 アレンは御者台に乗り、エーリッヒの隣に座る。


「じゃあ、見てて」


 エーリッヒが手綱を操り実演してみせる。停止や発進、カーブの曲がり方など、テクニックがある様だ。


「はい、じゃあ、これ手綱。隣でフォローするからやってみて」

「ありがとうございます」


 そうしてアレンは初めての御者にチャレンジする。



「うわっとっと!」

「そこは、もうちょっとこうして――」


 エーリッヒから指導を受けつつ手綱を操る。



「なんか馬車が大きく揺れたが――ああ、そういうことか」

「ご主人だけずるいにゃ!」


 荷台にいるラルフと琥珀が何事かと御者台を覗き事情を察する。ラルフは納得顔で荷台に引っ込み、琥珀は自分もやってみたいと主張し出した。


「じゃあ、もう少ししたら琥珀に代わろうか。それまではアレンのを見ててね」

「わかったにゃ!」


 アレンはしばらく御者を続け、だいぶ慣れてきたところで、エーリッヒの指示を受け琥珀と交代した。いつの間にかエーリッヒの琥珀達への“さん”付けも無くなり、だいぶ打ち解けた様だった。



「はいよー!」

「――ちょ! 琥珀、慣れてないんだからゆっくり!」


 エーリッヒも引く程、琥珀の操車は荒かった。上手いのだが、すぐにスピードを出そうとする。


「……何事! ――あぁ……」

「楽しそうでありんすね」


 今度はレインと稲姫が荷台から顔を出し状況を確認する。レインは琥珀の操車と分かると荷台に引っ込み、稲姫は興味深々に見ていた。


「次はわっちもやってみたいでありんす」

「じゃあ琥珀、稲姫に代わろうか」

「え~……」


 これ幸いとばかりに稲姫に操車を代わる。琥珀はまだやり足りなさそうだが、大人しくエーリッヒの指示に従った。



「そうそう。うん、筋がいいよ」

「えへへ……」


 どうやらアレン達の中で稲姫が一番御者のセンスがあった様だ。馬もご機嫌に言うことを聞いてるように見える。――琥珀の時は必至な形相だったな。


「この子達にも気持ちがあるからね。稲姫の優しさが伝わってるんだと思うよ」


 チラッと琥珀に目を向けるエーリッヒだが、琥珀は視線を気にすることもなく、気持ちよさそうに荷台で横になっていた。エーリッヒは小さくため息をつき――


「――じゃ、じゃあ、あと少しだし、このまま行っちゃおうか」


 前を向き気を取り直し、稲姫に手綱を握らせたまま、馬車を目的地へと向かわせた。


――“セラーレの森”・入口――



「ここが“セラーレの森”……」

鬱蒼(うっそう)としてるでありんすね」


 稲姫の言う通り、まさに自然そのままと言う感じで草木が青々と生い茂っていた。


「もう遅いし、入るのは明日からだけどね。じゃあ、野営をしようか」


 昨晩同様、皆で野営をした。明日は結界のあるという奥地まで一日歩くらしいからな。休息はゆっくり取らないと。



――皆で代わる代わる休み、英気を養った。



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