【第二部】第四十六章 “青ノ翼”と共に
――“青ノ翼”ホーム・広間――
「そうか……随分、厄介な相手と因縁を持ってるんだね」
「……天敵」
「だな。“力を使えなくされる”――さらには、“妖獣が奪われる”ってんじゃ、勝負にならねぇ」
事の経緯を簡単にだが、エーリッヒ、レイン、ラルフに語って聞かせた。三人とも難しい顔をしている。
「奴らのせいで俺達は大事なものをたくさん失った。それだけじゃなく、奴らの襲撃が“和国人妖戦争”の発端ともなったんだ。俺は決して奴らを許しちゃおかない。――それに、奴らは今も暗躍してるんだ。この先、また災いを齎すに違いない」
「だが、想いだけではどうしようもない。だからわらわ達は、“あ奴”に対抗する力を探しておるのじゃ」
アレンと青姫が意思を告げる。その顔に一切の迷いは無く、ただやると決めた決意だけがあった。――“青ノ翼”の面々はお互いに顔を見合わせ頷き合った。
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「なら、僕らも君達に付いてくよ」
「……青姫ちゃんの敵は、私達の敵も同じ」
「ああ! それに、お前達との相性が悪くても、俺達なら別だろ?」
3人が共闘を申し出てくれる。ラルフの言う通り、“根源からの力”によらない、彼らの磨き上げた力は頼りになる。だが――
「俺達はこれから“殺し合い”をしに行くんです。貴方達を巻き込む訳には行きません」
「そうじゃ。わらわに気を遣う必要はない。其方らには其方らの目的があるじゃろう?」
アレンと青姫は、彼らの気持ちだけ受け取ろうとするが――
「また他の国を戦争状態にされちゃ、仕事や目的にだって多大な影響が出るし――それに、僕らの目的は“未知の発見”だから、君達といることは目的から外れない」
「……右に同じ」
「命懸けなのは今に始まったことじゃねぇしな。それに、危険だからって仲間を放り出したら、そりゃもう仲間じゃねぇからな!」
三人はそんなのたいした問題じゃないとばかりに言い切る。――こうなるともう、梃子でも動かなさそうだ。アレン達は、顔を見合わせ頷き合った。
◆
「わかりました。実を言うと、スゴく心強いです。――エーリッヒさん、レインさん、ラルフさん。どうぞ、よろしくお願いします」
アレンは三人に手を出し、それぞれと握手した。
「ああ、こちらこそ」
「……絶対に勝とうね」
「久しぶりに歯応えのありそうな敵だな。腕がなるぜ!」
そうして、これからは三人と行動を共にすることが決まった。
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「じゃあ、話を元に戻そう。ここより北にある、“セラーレの森”に向かおう」
「<結界>を張ってる術者や道具を探すんだね?」
エーリッヒの問いにアレンが頷き返す。
「そうです。結界の力を得られれば、“門を閉じる”奴の力に対抗出来るかもしれない」
「まずは行動あるのみにゃ! 早速明日から向かうにゃ!!」
そうして、善は急げとばかりに明日発つことに。
しばらく宴会は出来ないと、皆は最期に食事や酒を平らげ、英気を養うのだった。




