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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第一部】“エクスプローラー養成学校”編
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【第一部】第八章 決闘の後に

――闘技場――


 よっしゃあ! 勝ったぞぉ!

 キュイ~!♪


 めでたし、めでたし♪ で終わる程、世の中甘くはなかった。


 ミハエルとの決闘で勝鬨(かちどき)を上げたアレン――と、謎の狐らしき小動物――に待っていたのは、とにかく様々な人達からの質問――というか尋問――だった。


 どこから出したの?

 召喚魔法? そんなの聞いたこともないよ?

 この子の使った魔法も見たことないよ?

 新種の魔法なんじゃないの?

 デバイスに登録されてないよね? 大発見だよね!?

 私も欲しいんだけど、もう一体出せない?


 大体がこんな感じだ。まぁ、気持ちはわかる。俺が逆の立場でも同じ問い掛けをするだろう。


 中には勝負の不正を意見する者もいた。ミハエルの取り巻き共だ。「ミハエルはさんざんゴーレムを造って手駒を増やしてたのに、なんでうちの子はダメなの?」と応戦するも、能力が卑怯やら何やらイチャモンをつけてきた。


 意外なことに、事を収めたのは当のミハエルだった。潔く負けを認めて取り巻きを抑え込んだのだ。


 戦ってみてわかったのだが、こいつは普段はチャラいし、思い込みが激しいという欠点はあるが、勝負や約束事については真摯(しんし)なのかもしれない。決闘中も追い込まれてからは(すご)く真剣だったしな。


 でもやはりミハエルもこの子が何かは気になるようで、他の人と同じような問い掛けはしてきた。


 他の人に対して同様、召喚魔法で押しきったら、それ以上は追求せずに引き上げていったが。


――寮の一室――



「で、ほんとにこの子は何なの?」


 エリスが狐――らしきものを指差しアレンに尋ねる。


 時は移り祝勝会。アレンとエリス、カール――そして狐らしきものはちょっと奮発して店で高級食材を買い込み、寮の一室で鍋を囲んでいた。


 もちろん、今回のMVPである狐様には、専用の小皿に特別いい部位を取り分けてあげる。食べやすいように小さくカットも忘れない。


 決闘が終わり二人に戦勝報告をしに行った時は、それはもう大変だった。エリスは安堵(あんど)からか泣きじゃくってるし、カールからは、普段に無い程の勢いで『心配したんだぞ!!』と叱られた。



「狐――だな」

「ふざけないで」

「ごめんなさい」


 数瞬、どうしようか悩む。


「ちょっと長くなるし、面白い話じゃないぞ?」

「お願い」


 カールも頷く。


 お腹いっぱいになってご機嫌(きげん)になった狐様は、うとうとしながらアレンの胡座(あぐら)の上によじ登り、いつの間にやらスヤスヤと眠っていた。


 そんな狐様の背を優しく手で()でながらアレンは意を決し、どこから話すべきか悩みながらも、今まで二人に話してなかった過去も込みで、わかる範囲のことを語り始める。


 ルーカスというおじさんに拾われたこと

 それ以前の記憶がないこと

 名前もわからず、ルーカスが名付けてくれたこと

 ルーカスと一緒に各地を旅したこと

 大事な用事にルーカスが一人で旅立ったこと

 アレンは学校に預けられたこと

 

 ミハエルとの決闘中、ピンチになり走馬灯が見えたこと

 そこには記憶にないものも多かったこと

 気づいたら狐様が助けてくれていたこと

 狐様の見た目も声も能力も、なぜか懐かしく思えること

 狐様や走馬灯は記憶の手掛かりかもしれないこと

 

 アレンは要点をしぼり滔々(とうとう)と語った。二人はしんみりとしている。エリスなんかは目が(うる)んでいる。


 金髪碧眼の少女が気になることには触れずにおいた。言うか悩んだが、情報が足りなさすぎる。


 でも自分にとって、とても大切な人なのはわかる。

 

――彼女を探したい。



(……そう言えば、なんでピンチになったんだっけ?)


「あ゛ぁっ!!」


「なによ!」

「どうした!」

「キュイィ!?」


 大事なことを思い出し、唐突(とうとつ)に大声を上げてしまった。二人と狐様を驚かせてしまい大変申し訳ない。起こしてしまった狐様に、『ごめんね』と頭を優しく撫でる。



「忘れてた! ミハエルとの決闘中、毒針の攻撃を受けたんだった!」



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