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単純なお笑いシリーズ コーヒーショップで久しぶりにあった人と会話してみた

作者: ぐわじん

ギャグ、コメディーですから、フィクションですよフィクション。

 息抜きのために同一建屋内にあるコーヒーショップに向かう。数か月ぶりの出社だが、さすがに人が少ない。コーヒーショップの中を見ると見かけた顔はあるけど名前を知っている知り合いはいない。店内に入ったときに逆に店の客からは注視された、人が少ないから知り合いかどうかを確認したのかも知れない。


 カフェラテのトールを持って外が見える窓側のカウンター席に座った。人が少ないのでソーシャルディスタンスは守れている。そんなとき店のドアが開いた音がしたので振り返ると、同僚の佐藤が入ってきた。こちらに気が付き軽く手を振りあった後、飲み物を持って、一席を開けて隣に座った。


「佐藤、久しぶり、元気してた?」


「杉田さんお久しぶり、元気っす。杉田さんは大丈夫でした?」


「うん何とかね。いやー久しぶりだよね、どんくらいだっけ? 4か月ぶり位かな?」


「そうですね。3か月と21日と2時間12分ぶり位ですね」


「怖えーよ。なんだよその正確な時間は」


「冗談すよ」

 そう言ってどこかを見る佐藤。視線の先には時計が見えた。


「正確には3か月と21日と2時間15分ぶりでした」


「いやだからこえーよ」


「ははは、冗談ですよ冗談。相変わらずのツッコミですよね。会社に戻ってきた実感が出てきました」


「いったい何で実感してんの? もうちょっと違うもので実感しろよ、まったく。ところで最近どうしてた? 殆ど家から出れなかったじゃん」


「あーそうですね。あっ料理を始めました」


「えっそうなの? 一人暮らしだったよね? 今まで料理とかしないとか言ってたのに凄いじゃん」


「自粛期間もあって外食とか出来なかったので、で、始めた感じですね」


「へー、どんな料理を作んの?」


「そうですね、大体毎食、卵かけご飯すね」


「卵かけご飯は料理とは言わねーよ」


「今全国の卵かけご飯専門店の店主とかを敵に回しましたよ」


「いや、そういうところはこだわりとかあるだろうけど、お前のはねーだろ。大体卵かけご飯の専門店とか全国でも10店舗位だろ敵に回したとしても。いや正確な数はしらねーけど」


「いや1055店舗ですよ卵かけご飯専門店」


「えっ思ったより多い? へぇー」


「いや正確な数は知らねーけど」


「知らねーのかよ。いや俺も知らなかったけどさ」

 ニコニコしている佐藤をみると、まあ、どうでも良いかなと思えてくる。あとで検索してみようっと。


「俺もこだわりをもって卵かけご飯を作ってますよ。近所で一番安い卵と一番安い無洗米で作ってます」


「値段だけじゃねーかこだわり」


「何言ってんすか、MSサイズ混合で10個で98円(税抜き)で買ってるんですよ。近くのドラックストアで」


「安いけれども。単純すぎる料理だからこそ、美味しさを追求するこだわりをしていないと料理とは言えないだろって。ただ卵を掛けるだけなんだから」


「ああーー全然わかってないです。炊き立てのご飯に卵を掛けるんです。そして冷凍したご飯はレンジでチンしてから卵を掛けるんです」


「そんなのは当たり前だろ、あったかいご飯に卵を掛けるのは当然だっつうの。それで料理をしているというのは言い過ぎだって話だよ」


「でもあれですよ。他にも目玉焼きとか、スクランブルエッグとか作ってますよ」


「卵だけじゃねーか。というか、それほぼ焼いただけだよね?」


「あっ今全国の主婦まで敵に回しましたよ」


「いやいやいや悪意はねーよ。お前だからツッコンだけだって」


「あとデザートも作りますよ?」


「何それ凄いじゃん。そういうのだよ、そういうの。そういうのが料理しているとか言えるんだって。でどんなの作ってるの?」


「フルーチ〇ですね」


「牛乳入れて混ぜて冷やすだけじゃん! フルーチ〇をデザート作っているとは言えねーだろ」


「あっ今ハウス食〇を敵に回しましたよ」


「いやいやいやいや、悪意はねーって。簡単に美味しく出来るデザートだから、それだけを作ってデザートも作ってます。とは言えないでしょって話ですよ」


「誰に言い訳しているんですか。まあそれはさておき、ちゃんとこだわって牛乳は種類別牛乳を選んでますよ」


「牛乳じゃないの?」


「牛乳ですよ。本当なら一リットル98円の乳飲料で済ませたいところを158円の牛乳を選択してるんす、あっ税抜き価格ですよ」


「ふーん」


「あれ? ツッコまないんですか?」


「何にツッコム要素が有ったの? ツッコミマシーンじゃないんだから何でもツッコムような事はしないぞ?」


「なるほど、ボケが不足していたと」


 ドアが開いた音がしたので振り返ると、取引先の会社に所属している、と言っても直接的な取引関係は無く、十数年前からの知り合いで会うたびに下らない冗談が言える位の関係の、ちょい年上の女性、徳川さんの顔が見えた。

 直接的な仕事は殆どないが昔に知り合った延長線上でそんな関係が続いている。つまらない冗談でも笑ってくれるからついつい下らない冗談を言っちゃうんだよねえ。

 徳川さんも私に気が付いたようで、お互い軽く会釈した後、飲み物を持って佐藤とは反対側の席に座った。当然一席開けて座っている。


「杉田さんお久しぶり。元気してました?」


「徳川さんもお久しぶりです、体調はバッチリです。徳川さんも元気ですか? それは良かったです。本当に久しぶりですね? 2年ぶり位でしたっけ?」


「2年と3か月と12日と1時間31分15秒ぶり位ですね」


「こっ…、そんなに経ってましたか、本当に久しぶりです」


「こっ? こっ? こっねぇ~、へぇー」

 佐藤を見ると白い目で何か言いたそうな感じだが、役職持ちのお客様の前では遠慮しているようだ。流石に私もツッコミ出来るほど仲良くは無いんで自制するって。


「そういえば部長になられたんですよね、おめでとうございます」

 昔から優秀で、どんどんと出世していった。


「いやいや全然全然、他に人が居ないからなっちゃったようなもんですよ」

 絶対謙遜だと思うので、これ以上話は引っ張らない方が良いかな。性格的に褒めても遠慮しちゃう発言するだろうし。


「徳川さん最近はどんな感じです? 結構大変な状況ですよね」


「まあそうね、仕事の仕方はずいぶんと変わったし、家にいる時間も長くなったから生活も大分変ったわね。ああ、そういえば自炊を始めましたよ」


「自炊って、今までは自炊していなかった、んですね、あっいやっ、ちょっと驚いてですね、てっきり料理もパパッと作っちゃいそうなイメージがあったもので。どんな料理を作っているんですか?」

 出来る女。年をとってもスレンダーなまま、顔だって悪くは無い。なんでも出来ちゃうから料理とかもするもんだと勝手に思ってた。多分独身だったはず、不思議だよねえ、なんで独身なんだろうな。


「良く作るのは卵かけご飯かな」


「それは! 美味しそうですね。私も卵かけご飯大好きです」


「それは! それは! 美味しそうですよね、私も大好きです。ふーん」

 佐藤が、お前ツッコまないの? とでも言いたそうな感じを醸し出しているが、スルーする。


「単純な料理だからこそ、素材の味が全体を決めちゃいますよね」


「そうそう。だからこだわりを持って選んでるんです。近所で一番安い卵と無洗米で。近所のスーパーでMS混合で138円税抜きの卵を選らんでます」


「値段! は重要ですよね。コスパは大事」


「ふふ。私は98円税抜きの卵を買ってますよ」

 佐藤が金額でマウントを取ってきた。が、ツッコミについても目線で私に訴えている。いや無理だって。冗談は言えるけど、ツッコミは無理だって。


「凄い! そんなに安い卵とか売っている店があるんですね。へえドラックストアで売っているんですか、ちょっと普段行っていないドラックストアに行ってみようかな」


「他にはどんな料理を作っているんですか?」

 流石に卵かけご飯だけってことは無いだろ。


「目玉焼きやスクランブルエッグですね」


「焼いた、事により味が変化するから、卵料理は奥が深いというか、料理の基本って言っても良いかも知れませんね」


「焼いた! 味が変化する! 基本ですかぁ、いい事をいうなあ、感心しちゃうなぁ」

 佐藤、絶対感心とかしていないだろう。というか何で卵料理ばっかりなんだよ。普通もう少し見栄(みえ)とか張るだろう、なんか多少作ってます感だすよね。


「そうそうデザートとかも作りますよ」


「凄いじゃないですか、デザート。どんなのを作っているですか」

 来たー、ここで多少褒めておかないと。


「フルーチ〇ですね」


「牛乳入れて冷やすだけ! だから手軽に出来て良いですよね? 果物とか入れてアレンジとか」


「いえ牛乳とフルーチ〇だけですね」


「ですよね、シンプルだけど十分美味しいですもんね」


「…」

 佐藤が変な目で見るから、エアー肩たたきして、まあまあと宥める。


「でもちょっと意外だったなぁ」

 徳川さんがぼそっとと言った。


「何が意外なんですか?」


「杉田さんもっとツッコミしてくると思ったのに、撮影とオフでは使い分ける感じですか? 凄く自然にツッコミしてたから。最近動画をアップしてくれていないし、生ツッコミを期待してたのになあ」


「撮影って? 動画? なにそれ?」


「ああー俺が上げているんですユーチューブに杉田さんのツッコミ動画を」

 佐藤が訳の分からないことを言い出した。


「何勝手にあげているの駄目じゃん。全然知らないんだけど。直ぐにやめろよ」


「いや結構人気なんですよ、ファンのためにも続けてあげないと、チャンネル登録者数だって百万人超えてますから」


「多すぎだろ! 何でそんな事になってるんだよ、何でそんなに登録されているのか訳が分からん」


「ツッコミが評判で、この動画はバズって五百万回再生されているやつですね」

 そう言って見せられた動画は私がバリバリにツッコンでいるものだった。


「私もその動画大好きです」

 と言われてもなあ。


「もしかして、最近視線浴びているような気がしていたんだけど」


「多分視聴者じゃないですか?」


「だめだろ、直ぐにやめろって。あれ? という事は、徳川さんは以前から自炊してたんです?」


「二十代からしてますよ」


「なんだ、そうだったんですね。本当の得意料理は何なんですか?」


「卵かけご飯ですね」


「いや卵かけご飯は料理じゃねーよ」

 ツッコンだら、徳川さんがもの凄く嬉しそうにしているので、これはツッコンでも良さそうだな。


「で、佐藤。動画の収入とか入っているんだよね?」


「多い月で50万円位ですよ」


「多すぎだろ、というか当然俺が出ているんだから、俺の金だよね」


「何言っているんですか、私が上げたことによって発生した金なんですから、まあ5分、5分で分けますか?」


「5分は取りすぎだろ、7対3位だろ?」


「俺が7で杉田さんが3ですか?」


「逆だろ、俺が7、佐藤が3だろ」


「ちょっと待ってください。杉田さんが7、佐藤さんが3、私が90でしょ」


「「おめはー関係ねーだろ」」

 二人からのダブルツッコミに、体をくねくねして喜んでいる徳川さん。


「ていうか100の内90取るって発想がすげーよな。最初聞いた瞬間、足して10超えてじゃんってツッコもうとしたら、まさかの100%の配分計算だし、びっくりしたわ」


「今回の動画はあげるんですか?」


「えっ何? 撮っているの?」


「当り前じゃないですか、杉田さんの会話は全部撮ってますよ」


「お前それ犯罪じゃねーの?」


「まぁまぁ。これで美味しいご飯でも食べに行きましょうよ。それに今更でしょ、全世界にツッコミの杉田として認知されているんだから」


「世界? 全世界は大げさだろ」


「勝手に翻訳動画が作られてますね。中国語と英語で。いい迷惑ですよ全く」


「いやお前が言うな。どの口が、そんな発言出来るんだよ。というか徳川さんだって出演する事になるんだよね? まずいだろそれは、ねー徳川さん」


「佐藤さん、声はボイスチェンジャーで可愛く変えて貰えるんならOKです」


「顔はモザイクとかじゃねーのかよ、なんで声だけなんだよ」


「いや、これで旦那さん候補とか見つかるかなって」


「あっ、はい。見つかると良いですね」


「そこはツッコンでくださいよ」


「いや、そうは言われてもね。ツッコマれたいんですか?」


「ハイ、ツッコマれたいです」


「それ変な風にも取れますよ?」


「セクハラです! セクハラ!」


「ええーー。アドバイスのつもりだったんですけど」

 ツッコミは難しいな、地雷を踏む可能性もあるからと改めて考えさせられた。そして臨時収入が本収入を超えるんならユーチューバーも有かなと思った。

少しでもニヤっとしていただけたら幸いです。


あと勝手に動画をあげるのは止めてくださいね。


あとハウスさん悪意は無いですから、簡単に美味しく出来るって話ですよ。


あとステルスマーケットではないです。


卵かけご飯、私も大好きです。でもなかなか食べる機会が無くて、だってメイン料理も作るから。


卵かけご飯だけでご飯一杯、それとは別に普通の食事となるからなあ。食べ過ぎちゃう。

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