パオラ村到着
旅立ってから2日目
慣れない野営や火の番は物語で読んで知識として得たものに比べてなかなかにハードだったことを俺達は知る
わかりやすくゲーム風に言うなら普段の家のベッドで寝るのがHP100%まで回復するとすれば、野営してテントで寝るのはよくてHP60%くらいだ
特に女性陣の体力の減少は明らかなもので、明らかにこういうことに慣れていないだろう高柳さんはなんとか歩けている、としか形容出来ないくらいには疲弊してる
このままではマズいと思っているとかなり先に木で囲われた建物が見えた
「お、おい!あれってまさか!!」
ゲンジが興奮して皆に知らせる
「うん、間違いないよ!」
それにカイトも続く
「「やったぞおおおぉぉぉ!!」」
俺達は『始まりの村』に着いたって訳だ
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村の入り口まで行くと革鎧と簡素な槍を持った男性に止められる。多分この村の門番なんだろう
「君達、一体この村に何用かな?」
「あ、あの僕達、駆け出し冒険者なんですよ。それでぇ、なんとかこの村にたどり着いたんですよ。ほら、女の子達とかすごい疲れてて。なので、しばらくこの村に泊まれないかなぁ…って」
意外にも門番さんと交渉するのは葉隠さんだ。マシロさん共々年長なことと小説で読んだ異世界知識とかいうのがあるから任せろ、とのことだ
「確かに…そこの女の子達、特にその子は大分疲れてそうだね。わかった、村の宿屋を使うといい」
どうやら上手くいったらしい。葉隠さんも俺達に向けサムズアップで誇らしげだ
「それではようこそ、パオラ村へ」
早速宿屋へと俺達は向かう
村の入り口からすぐの大通りとでも呼ぶべき道に宿屋エストと書かれた看板を掲げた建物が目に入る
宿は看板通り、エスト夫妻が経営しておりなんとか部屋は大部屋を2つ用意出来た
ちなみに宿代だが教皇様がくれた荷物の中に銀貨10枚と銅貨50枚が入っていた。メモによると銅貨100枚で銀貨1枚だそうだ
宿代は1人銅貨2枚だったが大部屋ということもあり割高な計銅貨23枚となった