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使えない勇者達の異世界召喚  作者: 瑠那
一章 導かれし使えない者達
10/12

俺達の会議

大部屋2つを男女で分け、俺達5人は男部屋へ入る


部屋の中は5人でもそこそこ余裕がありベッドの数も6つあるため争いも起こらない


「とりあえず荷物置いて、今後について会議な!」


早くもリーダーとして目覚め始めたゲンジ、頼りになることこの上ないな



ベッドの脇に背負っていた荷物を置いてベッドに座りながら話すことにする


「それじゃあ何かあるやつはいるか?」


今回もゲンジが議長として話し始める、とすぐさまマシロさんが挙手する


「まずは、だが。思っていた以上に野営するにはキツいってことだ。俺達男5人はともかく女共は明らかに負担が大きい。このまま10人で動くには色々と対策が必要だってことだ」


いきなりの本題と言えるか。まぁ俺もどうにかしないといけないとは思ってた


「野営が無理ならこの村を拠点に活動したらどうでしょう?」


「カイト、それじゃあダメだ。宿代はいずれは尽きるし何より魔王を倒さない限り俺達の旅は終わらねぇ」


「そ、それは確かに…」


マシロさんに痛いところを突かれて言い淀むカイトに葉隠さんがフォローにまわる


「ですが、カイトくんの意見も捨てがたいと僕は思うんですよ、マシロくん」


「あ?葉隠、お前には何か考えがあんのか?」


「お、脅さないで下さいよ〜。あ、あのですね。こういう時、異世界転生ものでは立ち寄った村で情報収集とささやかなお助けをするものなんですよ〜」


「あ?なんだそりゃ」


葉隠さんの異世界知識による話は続く


「僕達は夜逃げが如く旅立った訳で今の状況を今ひとつ理解出来ていません。魔王の話がどこまで広まってるのか、とかですな」


「そりゃそうだが、その夜逃げになった理由が俺達が使い物にならないから襲われる前に逃げろっていう教皇さんの温情なんだぞ」


「マシロくんの言うことはつまり、情報収集なんてしたら僕らのことがバレてマズいって言いたいんですね?」


「まぁ、そういうことだ…。そこんとこどうすんだ」


葉隠さんは薄い胸板を張って自信ありげに応える


「そもそも村に入れた時点で、僕らのことは少なくとも知れ渡っていないです。万が一召喚された勇者が使い物にならないって話が広まっていたとしても!教皇様の元にいると考えるでしょう、だからこその早い段階で夜逃げになったわけですしね」


まだ3日ほどしか知り合ってから経ってないけど、これまでおどおどしていた葉隠さんはしっかりとマシロさんへ意見してる。男子3日会わざれば、とかいうやつだろうか


葉隠さんのこの意見が決定打となり、今は昼過ぎだから夕方頃まで手分けして村内での情報収集をすることになった



5人バラバラになって活動を始めたが情報収集ってのはなかなかに簡単なことじゃないらしい


そもそもいきなり村の情勢は?とかいきなり旅人が話しかけてきたら怪し過ぎる。だからとは言ってもゲームよろしく酒場に行こうとしても昼だからか閉まってた


こういうとこでも知識と実際の違いを痛感させられる


仕方なく普通の店にでも入ってみようと思い、目の前の果物屋と書かれた店に入る


「いらっしゃい!…見ない顔だね、旅人さんかな?」


扉を開けるとカラカラと小気味良い音と共に店主に声を掛けられる


「あー…そうなんですよ。さっき宿に着いたとこでして」


「そうかいそうかい。見たところ駆け出し冒険者って感じか!聖都で冒険者になって、まずは1番近いこの村にってとこか」


「あはは…。まぁそんなところです」


店主さんは頑張れよ、と応援と共に見慣れない果物をサービスだと渡してくれる。それじゃあ悪いと値段を聞いて払おうとしたらおまけだ、ともう一つくれた


「あはは、ありがとうございます。…ところで、最近この村の周りで何か変わったことはないですか?」


ここでなんとか本題に入れた


店主は少し考えてから思い出したように話し始める


「最近この近くの洞窟に盗賊が居ついたらしくてな。なんでも、勇者で召喚されてその式典で各国から集まる貴族なんかを狙おうとしてるらしいんだよ」


「なるほど…」


「近くの洞窟とは言ってもこの村から3日はかかる場所だ。それにこの村は聖都に近いから何かあれば騎士団が来るだろうから安全だとは思うがな」


そう言って笑う店主。盗賊、か…、と考えつつ俺は果物屋を後にした


それ以上は特に変わった話が聞けるわけでもなく、徒労に終わった。…あえて言うなら、果物に水、それから旅用のマントが手に入ったくらいか


ちなみに俺の財布は銀貨8枚まで減っていた


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