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漆黒のブリュンヒルデ  作者: 大橋むつお
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098『三千世界のカラスを殺して』

漆黒のブリュンヒルデQ 


098『三千世界のカラスを殺して』   





「……三千世界ちゅうたぁね、ありとあらゆっ世界全部ちゅう意味じゃ」



 お風呂を上がって部屋に上がると「電気はつけじ」と言って、ベッドに仰向けになりなったままの玉ちゃんが言う。


「というのは、世界中のカラスという意味ね? 三千世界のカラスを殺し……」


 カラスというのは北欧でも不吉の象徴だ。それを殺そうというんだから、なにか悪魔的なものをやっつけたいという、言ってみれば魔王退治を志して、フルコンプを目指す勇者のようなもの。晋作が言っていたのはそういうことか?


「神社ん神さぁやっちょっとね、大勢んしが祈願に来っ。中には、神社ん朱印押した誓紙を持って帰っせぇ、人と誓約をきびっときに使う者もおっ」


「きびっとき?」


「ああ、えと……誓約を結ぶときじゃな」


「ああ、神の御名に誓ってというような意味だな」


「色町んおなごは、よう誓約書を書いたもんじゃ」


「遊女がか?」


「ああ、客にな『ほんのこて愛しちょるんなあただけ』てか『年季が開けたや、きっとあたと結婚すっで』てか起請文を書っど」


「ほう、純情な遊女もいるもんなんだな」


「アハハハハハ(* ´艸`)」


「何がおかしい(`_´)?」


「噓に決まっちょっじゃろうが」


「嘘なのか!?」


「客へんサービスや。中には本気にして野暮な奴じゃと笑わるっ者もおっどんな」


「それが、どうしてカラスを殺すんだ?」


「色町んおなごは、たいてい熊野権現ん誓紙を使うたんじゃがな、熊野権現ん誓紙にはカラスがよかひこ刷り込んや。熊野権現で、カラスは神ん使いじゃっでな」


「そうか、カラスを殺すとは誓いを破るということなんだな!」


「そうさ、そして……ぬしと朝寝がしてみよごたっ……と続っど」


「朝寝?」


「にび姫騎士さぁだ、夜通しよかことをしっせぇ、そんまま朝寝をしよごたっちゅう意味や」


「よかこと……え、ええ! そういう意味なのか(゜ロ゜;)!?」


 さすがのわたしにも分かった!


「電気つけようか、姫騎士はどげん顔をしちょっか見もんやなあ(ㆆωㆆ)」


「つ、点けんなあ!」


「あはは、ひっでは純情なんじゃなぁ( ´艸`)!」


「玉ちゃんこそ、ひっでえぞ!」




『もう、暴れてないで、早く寝なさいよぉ!』




 階下から声、お祖母ちゃんに怒られた(^_^;)。


 窓のカーテンを閉めようとしたら、向かいの窓から――何やってんの?――とねね子が覗いているが、こいつは無視。


 おやすみなさい。




☆彡 主な登場人物


武笠ひるで(高校二年生)      こっちの世界のブリュンヒルデ

福田芳子(高校一年生)       ひるでの後輩 生徒会役員

福田るり子             福田芳子の妹

小栗結衣(高校二年生)       ひるでの同輩 生徒会長

猫田ねね子             怪しい白猫の猫又 54回から啓介の妹門脇寧々子として向かいに住みつく

門脇 啓介             引きこもりの幼なじみ

おきながさん            気長足姫おきながたらしひめ 世田谷八幡の神さま

スクネ老人             武内宿禰 気長足姫のじい

玉代(玉依姫)           ひるでの従姉として54回から同居することになった鹿児島荒田神社の神さま

お祖父ちゃん  

お祖母ちゃん            武笠民子

レイア(ニンフ)          ブリュンヒルデの侍女

主神オーディン           ブァルハラに住むブリュンヒルデの父

 

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