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漆黒のブリュンヒルデ  作者: 大橋むつお
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095『皆既月食の夜に煌めく星座、閃く玉ちゃん』

漆黒のブリュンヒルデQ 


095『皆既月食の夜に煌めく星座、閃く玉ちゃん』   





 ちょっとちごっかもしれん


 風呂上がりの髪を乾かしながら玉ちゃんが呟く



 空には、間もなくコンプリートしそうな月食の月。なにかの閃きが居候の神さまにあるのかもしれない。


「寅どん(吉田松陰)も望東尼どんも、彼んこっ『高杉どん』て呼んじょったんじゃね?」


「あ、うん。二人とも受け持ちの生徒かクラスメートを心配する感じだったよ……なにか?」


「うん、思い出したたっどん、高杉晋作は亡くなっ二年前に谷と苗字を変えちょっ。名前は潜蔵、谷潜蔵が最後ん名前やったじゃ」


「でも、それって、身を隠すための偽名とかじゃないの? 晋作って、ずいぶん敵も多かったみたいだし」


「うん、じゃっどん、名前を変えたんな藩命で、高杉ん籍も離れっせぇ、録も新知に百石になっちょっで正式やっど。寅どんも松下村塾んしたちも、そげんケジメはしっかりしちょっで」


「そうなんだ……玉ちゃんも、俄然詳しくなってきたねえ。家へ来たころは、千数百年ぶりの人の世の中なんで、こっちも玉ちゃんも戸惑うことばっかりだったけど、なんだか、わたし以上に詳しくなってきてない?」


「うん、あたいは荒田八幡宮からは出らんやったじゃっどん、参拝に来っしは多かったでねインプットはされちょっみて。ただダウンロードされたアプリみてなもんせぇ、解凍せんな使い物にならんのじゃなあ」


「そうか……わたしのはウィキペディア的だからね。そういう玉ちゃんの助言は助かるわ……で、なにか気にかかる?」


「うん、プラスマイナス両方あっかなあ……」


「プラマイ?」


「一つは、寅どんも望東尼どんも、妖か物ん怪的なものが化けちょっとかもしれん……そいが、高杉晋作んこっが目障りで、ヒルデにやっつけさせようとしちょっとかも……」


「それは怖いな」


「もう一つは、ヒルデにもあたいにも分からん長州人の機微があっせぇ、旧姓ん高杉で通しちょっとかも……」


「玉ちゃんは、どっちだと思う?」


「うう~ん……月食はあたいん潜在能力を喚起すっどん、今夜は天王星がねえ……」


「天皇制?」


「お星さぁん天王星じゃ。土星と海王星ん間んお星さぁ」


「ああ、天王星」


「そん天王星が、何百年かぶりん惑星食で姿が消えちょっ……あや、あたいん能力を引き起こすシッチになっちょっみて……」


「シッチ?」


「スイッチんこっじゃ……ああ、髪も乾いて眠うなってきた……わり、ヒルデ、先に寝させてもらうわ……」


「ああ、ありがとう、お休み……もう寝てるし(^_^;)」


 


 煌々と星々は輝くも月が見当たらない夜空は、どこかとりとめがない。


 海王星なんて、太陽系の七番惑星としか知識には無かった……いや、我が北欧神話にも、なにかしら言い伝えがあるのかもしれないが、戦に明け暮れていたわたしには無縁の星だった。


 こんど親父(主神オーディン)と話す機会があったら、話の枕にでも聞いてみるか。





☆彡 主な登場人物


武笠ひるで(高校二年生)      こっちの世界のブリュンヒルデ

福田芳子(高校一年生)       ひるでの後輩 生徒会役員

福田るり子             福田芳子の妹

小栗結衣(高校二年生)       ひるでの同輩 生徒会長

猫田ねね子             怪しい白猫の猫又 54回から啓介の妹門脇寧々子として向かいに住みつく

門脇 啓介             引きこもりの幼なじみ

おきながさん            気長足姫おきながたらしひめ 世田谷八幡の神さま

スクネ老人             武内宿禰 気長足姫のじい

玉代(玉依姫)           ひるでの従姉として54回から同居することになった鹿児島荒田神社の神さま

お祖父ちゃん  

お祖母ちゃん            武笠民子

レイア(ニンフ)          ブリュンヒルデの侍女

主神オーディン           ブァルハラに住むブリュンヒルデの父

 

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