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2-話「狂わせたゲーム」

さて、これからどうするものか…。武器はウィンチェスターとウェルロッドの二丁。

どちらもボルトアクション方式だ。

今気づいたがここは孤島。食料などはどうすれば良いのだろうか。

「榊原君…」

「涼夜でいいよ」

「あ、うん。涼夜君、これからどうすれば生き残れるかなぁ」

玲が不安を俺に言う。俺だってわからない、けれどここで真っ向からわからない。と、閉ざしてしまうと心を開くどころか施錠をかける羽目になるだろう。だから俺は慎重に言葉を選んで吐き出す。

「それは俺にだってわからない。けれども諦めなければきっと助かるさ」

愛想笑いをし、玲の心理状態を落ち着かせる…事ができたらいいな。

「う、うん。そう…だね、諦めなければきっと助かるよね」

うんうん、と数回頷き自分に言い聞かせている。

まぁ玲の方はきっと大丈夫だろう。問題はこれからどう食い繋いでいくかだ。

この島はどのくらい大きなものなのか、果たして動物は生息しているのか。

この情報だけでもわかれば色々楽なんだが…。

まぁこの世には超能力とか魔法など存在するはずもないので仕方ないが手探りでいくしかない。

ここからどうすれば良い…無闇矢鱈に動いてはダメだし、ずっとここにいても何も解決策などない。

ピロリン♪

俺のスマフォから着信音が鳴る。いや、俺のだけではない玲のスマフォからも鳴った。

俺は【combatゲーム】と言うアプリをタップし開く。


【combatゲーム】

これを見れていると言うことはアプリは消さないでくれたのか。

まぁ、消したらなんの情報も入らないからね。

じゃあ、今回はミッションを出そう。

食料と島について知る事が出来るものを景品としたミッションだよ。

それはいたって簡単、早く人を3人殺した人が与えられるよ〜。

ただし、今から合図を送るからそれ以降の殺した人数ね。

それでは御武運を祈っておくよ。


口調を崩しまるで鬼ごっこのルールを考えているような感じだった。楽しんでる…。

俺はそれに怒りを覚えた。けれどこれは…

俺が欲しかった情報だ。しかし、人を殺さないと手に入らないって考えた狂人もいるもんだな。

俺は冷や汗をかきながらどうするか迷う。

「玲、お前はどうしたい?」

「え、それはまぁ…食べ物や情報は欲しいけど…」

闘いたくはない、と…。

俺だってそうだ。不毛な争いは好まない。

けど…。俺は立ち上がりドアへ足を向ける。

「ど、どこにいくの?」

玲が心配そうにこちらを見ていた。薄々気づいているのだろう…。

「玲はここで待っていてくれ、少しあたりを散策するだけだよ。もしかしたら手掛かりとかあるかもしれないからね」

俺はニコリと笑いその部屋を後にした。

散策をするのは本当だ。でも、俺は男だ。やる時にはやらなければならない。

俺は廃屋を出て近場を歩いた。

耳を澄ませ、全神経を周りに対しての警戒をする。いつ、どこから来ても良いように…。

俺はウィンチェスターを握る手を強くした。

………。ただの高校生が銃を握って戦っても勝率は低いだろう。

でも、やらないよりかはまだいいと思う。

ガサガサ・・・

少し離れたところから葉と葉が擦れ合い音を生み出した。

俺は立ち止まりウィンチェスターを両手…に持つのではなく肩にかける。

第1発は向こうからだろう。ならば避けるのに専念した方がいいだろう。

ガザリ

大きな音を立てた、その時俺は瞬時に右へ動いた。

動いたと同時に銃声が鳴り響く。玲に撃たれた時は不意打ちだったが今回は警戒していたし、来ることも想定済みだった。

俺は音がした方に足先を向け地面を蹴った。見た目はベテランの教師見たいな姿の男性だった。

おっさんが手に持っているものは一瞬で詳細は分からなかったがスナイパーの類だ。

「く、くるなぁ!」

おっさんが恐怖に顔を歪め銃を乱射する。スナイパーの特徴を全く活かせてない。

適当に撃っても当たらないのは知っている。

俺はおっさんとの距離が5メートルになったところで背中に背負っていたウィンチェスターを両手で持ちおっさんの中心部分、心臓に向かって1発。撃ち込んだ。

銃口から細くたなびく煙が出ていた。

バタリ…

おっさんは力なく地面に倒れ血溜まりを作っていた。

「あ…あぁ…」

初めて人を殺した。自らの手で…。

俺は半狂乱になりながらも理性を留めていた。留めないと狂いそうだった。

人間の命は儚く脆い。どんな生物よりも賢いが人間は知能を持った事で殺す事に戸惑う。

けれどいざ、殺して見なければわからない。殺される側からしてみれば命を繋ぐために必死になる。

「う…」

俺は改めて人間の死体を直視してしまい吐き気が込み上げる。けど、そんな事をを言っている場合ではない。

俺はおっさんの死体に近づき荷物を漁る。

さっき撃っていたスナイパーライフルとその弾丸の箱が2箱。

かなりの弾数がある。このスナイパーライフはバレットM82:…。おっさんこんなのよく持ちながら撃てたな。

その銃を持ってみると大体だが5キロ程度はありそうだ。

俺はそれらを持ってすぐにその場から去った。

おっさんの死体を直に見るのは避けたいから。他にも、さっきの銃声で俺の位置が周りに知れ渡った可能性が高い、一刻も早くこの場から避けなければ今度は俺がやられる。

ウィンチェスターを背中に背負い、弾丸は服のポケットへ。バレットM82:は両手で抱えて玲の待っている場所まで帰る。


****************************


俺は廃屋の入り口に立ち入る。

部屋のドアを開け、玲の姿を視認した。

「りょ、涼夜君!?」

玲は驚きの声をあげた。銃を持っている事がそんなに驚いているのか?と俺は顔を手元に移した。

その時にようやく気づいた。服が、血塗れだ。

俺は銃をその場に落とし、膝をついた。

声を殺した。叫びたい衝動にかられるがここで叫んだら俺の場所も玲の場所も周辺にバラすことになる。

歯を噛み締め、声を精一杯抑える。

「…涼夜君、大丈夫だよ…」

玲は俺のそばに来てくれて頭に手を置き優しくそう言った。

正直助かった。玲がいなければ今頃俺は…。

考えただけでもゾッとする。

数分間、俺はずっと玲に「大丈夫、大丈夫」と声をかけられてようやく落ち着いた。

「玲、助かったよ」

恥ずかしいながらも俺は礼を言う。

「うん、前にお母さんがしてくれたようにしたの…涼夜君にも落ち着いてもらえればいいなって思ってね」

ニッコリと微笑む彼女の心には一切汚れはない。

俺は自然と思えた。玲を何としても生きて帰らせてあげたい、守ってあげたい。と…。

ピロリン♪

とまた着信音。俺はそれを開いた。


【combatゲーム】

個人に通達

やぁ、榊原涼夜君。やっと、人間を殺せたね〜。

私としては発狂してBADエンドだと思っていたんだけど、まぁいっか。

それじゃ君にだけ特別ルールを設けよう。

そこにいる優雅咲玲を殺せば君にだけ特別な情報をあげよう。

どうする?殺っちゃう?

選択は君次第だ!なんてね

それじゃ、まったね〜


俺は本能的にスマフォを握り砕きそうになった。

勘忍袋の尾が切れそうだった。けれど、表情に出してはいけない。

「だ、大丈夫?」

玲が俺の事を心配していた。

「あ、あぁ…大丈夫だよ」

玲を殺せば情報が手に入る。けど、俺はそんな事をしたいわけではない。

ここで決めなければならない。

人を殺して生き残るか。殺さずして凌ぐか。

後者は圧倒的に不可能に近い。

「なぁ、玲。俺ってどうしたらいいんだろうな」

女性にこんな事を聞く俺も俺だが、正直はっきりしたい。俺がどうしたらいいのか。

「…涼夜君の思うようにすればいいよ。こんな事に巻き込まれた以上人を殺しちゃいけない、と言う概念はこれからにとって不利になると思う。私だって人を殺したいわけじゃない、けど、この状況でその考えは捨てなきゃいけない。きっと…」

玲は悲しそうな表情で俺に言った。俺は玲を抱きしめて言葉を紡いだ。

「ありがとう、でも玲は変わらないでほしい。変わるのは俺一人で十分だから」

初めに出会ったのが玲だから?他の人と出会えば同じ事を言えたのか?

それは分からないけど、今の気持ちを大切にしたい。

そう思うと同時に俺の心の中で何かが固まった。

玲から離れ俺はバレットM82:を両手に持ち部屋の窓の隙間から外を見た。

目視できる人間は数人いた。

「涼夜君?」

「俺はもう一人の人間を殺してしまった。けど、玲はまだ殺してはいないだろ?だったら、俺が殺った方が情報も食料も手に入る確率が高い。なら俺がする」

俺はスコープを覗き一人の人間に標準を合わせた。

3…2…1…!

引き金を引いた瞬間さっきまで動いていた人はその場に倒れ動かなくなった。

心の中でごめん、と呟きもう一人に標準を合わせる。

3…2…

腕が震える。

1…!

深呼吸をし引き金を引いた。

3人…目…。

気づけば、フーッフーッ

と言う荒い息を上げていた。

無理もない人を…3人も自分の手で殺めたんだ。両目からポロポロと涙が溢れている。

何度拭っても、何度拭っても涙は止まらない。

俺は自分が殺めた人々への罪悪感に押し潰れそうになっていた。

その場にうずくまり、小さく、小さく…まるで存在を消そうと思える行動だった。

自分のせいで人が死んだ。自分が殺したせいであの人達はもう二度と最愛の家族や友人には会えなくなった。自分のせい、で…。

消えそうになる。自分の存在が本当にあるのかと思える。後悔の渦に飲み込まれ前が真っ暗になる。

助けて…。そう言う事すらもできなかった方もいる。

俺には生きる資格があるのか?俺は死んだ方が…

パシッ!

後悔の渦に飲まれている最中頰に鋭い痛みが走る。

上を見上げるとそこには泣きそうになりながらも唇を強く噛み泣きそうなのを我慢している玲の姿があった。

俺は唖然となった。

なぜ叩かれた?

それだけが今、頭の中に存在する。

「馬鹿…。涼夜の馬鹿!」

いきなり罵倒されている俺はどうしたらいい?

「俺……どうしたらいい?」

どうしたら全員が死なずにハッピーENDを迎えることができる?

尚も俺の頰を涙が溢れ流れている。

「涼夜は、涼夜は悪くないよ…!」

ついに我慢ができなくなってしまったのか涙を流す玲。

俺は玲を泣かせてしまった。

後悔に押し潰され渦に飲み込まれた不甲斐ない俺のせいで…。

「ごめん…ごめんなさい…」

小さな声、両目から溢れる涙は止まらない。

背中に腕を回された。玲が俺を抱きしめている…?

今度は落ち着いた声で一言…こう言った。

「大丈夫、きっと大丈夫。涼夜は良い人だから…。きっと…」

大丈夫…?大丈夫…。

心が落ち着きを取り戻していく。しばらくはこのような状態になっていた。

体と体を離し俺はそっぽを向いて恥ずかしそうに小声で言った。

「………ありがとう」

「ん?何か言った?」

「何でもない」

玲の目は赤く腫れていた。きっと俺も同じだろう。

さてと…。俺はアプリを開き今回の情報及び食料の場所を確認する。

玲がいてくれなければきっとあのまま…。

とりあえず、俺は気を取り直してスマフォ画面を見た。


はいはい、どうも堕天使です。

小説書き始めて大体2ヶ月か3ヶ月程度経ったかな?

まぁそんなことは置いといて、と。

今回涼夜君は人を殺してしまいました。自分の犯した罪を悔やみ、そして渦に飲み込まれた。そんな時玲の優しい言葉が彼を救いました。…あなたにもこんな友人がいると、いいですね。

それと感想・ブクマも良ければしてください。私のモチベーションがぐんっと上がりますんで(*´ω`*)

それじゃ、また次回に会おうね


堕天使

暑くなってきて干からびそう

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