1-話『全ての始まり』
俺は榊原 涼夜(さかきはら りょうや)。今年高校1年生になった。彼女はいないが男子の友達と楽しくやっている。
今日はGW真っ只中、俺は1人歩き少し遠いデパートへ足を運ばせていた。
今日はとても暑い日だった。五月というのに真夏日のような暑さ。雲ひとつない晴天。目眩がしそうなほど猛暑の日。
「なんでこんなに暑いんだ」
今日はじめの第一声がこれであった。本当に暑い…。
手を団扇がわりに仰ぐが風は起きない。少し休憩しようとすぐそこの影に移動しようとした時だった。
背後からパタパタと乾いた音を立てながら数人の男性たちが俺の腕を押さえつけ口にハンカチを押し付けられた。次第に意識が遠のいて行き最後に聞いた言葉…《ゲームを始める》その言葉を聞いた瞬間意識は途切れた。
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意識の覚醒とともに瞼をあげた。そこは俺がいた都市とはかけ離れた場所だった。
目の前には大きく広がる海。後ろには木々が生い茂っているがあちらこちらに見える廃屋らしき建物。そして俺のスマフォが置いてあった。
俺はスマフォを手に取り電源を入れる。パスワードも解かれており誰かにいじられたのは一目瞭然だ。
スマフォの画面には『combatゲーム』と言うアプリが掲載されておりそれ以外の電話・LINE・その他のアプリは全て消されていた。
「なんだよこれ…」
俺は『combatゲーム』と言うアプリを開いて思わず言葉を零した。
【combatゲーム】
これを見ている諸君。君たちは我々に選ばれたのだ。
これから君たちにはあるゲームに参加してもらう。
それはcombatゲーム。つまりは殺し合いをしてもらう。
歳は関係なく子供から老人まで参加している。
武器はこの島にある廃屋の中にある。
おっと逃げようとは考えないほうがいいぞ?
この島は小さな孤島。近くに別の島があるとは思わないでくれ。
このアプリには重要な連絡を送るから間違っても消さないように…。
消してしまったらそのスマフォは使い物にならないだろう。
このゲームの終わりは残り1人になればいい。簡単だろ?
この島に何人いるかは教えない。頑張って生き延びてくれたまへ。
そこには淡々と述べられた文章があった。殺し合い?そんなもの参加する気もない。
でもいざという時のために武器は確保して置いたほうが身のためだろう。
俺はすぐ近くに見えた廃屋へと足を運ぶ。
まさかこのような事態に陥るとは思わなかった。武器…そう聞いて思い浮かぶものは剣や銃の類だろうか。
俺はただの一般人。一般の高校生。体力も知識も並くらいだ。そんな高校生にいきなり殺し合いをさせるのは正気の沙汰ではない。銃など撃ったことがない。
しかしここで足を止めるのは自殺行為だ。戦闘を避けるのは困難だろう。人間窮地に追いやられたら何をするかわかったものではない。俺は木々を避けながら廃屋に入った。
中はボロボロの床や壁。埃の匂いがあたりを立ち込めている。俺は口元を手で覆いながら探索する。
どうやらこの廃屋は二階建てらしい。階段が上へ続いて行っている。
俺は先に一階を探索する。一階にはリビングらしい場所やキッチンらしい場所が目に入る。リビングらしき場所はギリギリ原型を留めているであろう机とボロボロのソファーがあった。俺は軽くあたりを見回したが何も見つからない。キッチンの方も同様だ。
俺は今にも崩れそうな階段を慎重に登っていく。手すりを掴もうとしても掴んだ部分がボロボロと木屑を零していく。俺はなんとか階段を登りきり床に空いている穴を避けながら移動する。
部屋は4つ。
俺は1つ1つ調べていく。ここもダメ、ここも…。3つ目の部屋に俺が探しているものがあった。
「これ、が…?」
銃の種類は戦闘系のゲームをしていたので多少わかる。これはウィンチェスターM70。元は猟銃として使われていたボルトアクションライフルだ。ボルトアクションとはボルトを手動で銃弾を装填、排出することができるものの事をいう。ウィンチェスターの近くには銃弾が一箱置かれていた。俺はそれらを手にし次の部屋を探索しようとドアノブに手をかけた。
ガチャリ
その音と共に部屋の様子が目に入る。完全にドアが開かれた時俺は目を見開いた。
だいたい中学2年生か3年生の歳のくらいの少女が座り込んで体はとても震えて涙をポロポロと流していた。少女は震える手で俺に向けて照準を合わせて銃を向けている。
確かあの銃はハンドガンの種類であるウェルロッド。消音拳銃でこれまたボルトアクション方式だ。
俺と少女の距離は約5メートル。いくら素人でもこの距離だ。きっと当てれるだろう。
俺が持っている銃を見たのか少女はより一層恐怖し、パニックに陥っていた。
「そ、その銃を捨てなさい!じゃなきゃ撃つ!」
大粒の涙を流し、手の震えが増す。その震えた手だといくら距離が5メートルだとしても外してしまうだろう。けれども俺は戦いにきたのではない。だから銃をゆっくりと自分から1メートルのところに置き、両方の手を挙げた。
「俺は別に君を殺そうなんてことは考えていない。だからさ、その銃、降ろしてくれないかな?」
できるだけ笑顔で平静を装う。事実殺そうなんてことこれっぽっちも考えちゃいない。
「う、嘘…!嘘よ!そんな事あるはずがない!だって最後の1人になれば生き残れるはず、だから私を殺そうと」
そこまで少女が言った時俺はゆっくり右手を動かし口の前に人差し指を立てる。
「こらこら、そんな大声出してたら他に周りに人がいた場合余計集まってくるよ」
苦笑いをしながら少女に言った。少女はハッと我に帰ったが警戒していることには変わらない。
とりあえずは落ち着かせないといけない。この少女のためにも俺のためにもここは話をしなくちゃならない。
「とりあえず落ち着け、俺は戦うつもりはない。ましてや君を殺そうなど考えないよ」
俺は少し苦笑いをしながら言った。
少女はまだ若干警戒しながらも涙は止まり震えも治まってきた。
ん…?これ俺撃たれたら終わりじゃね?
内心そんな考えが通った。手の震えが止まり照準は安定している。涙が止まったことにより視界もいい。
照準は安定している。ウェルロッドを握る手がさらに強くなる。
パァン!
俺は咄嗟に右に回避する。左頬に一筋の赤い血液が滴る。
あっぶねぇ。
自分が撃たれたことには驚いたが、回避できるとは思いもしなかった。
「…!?」
少女も俺が避けるとは思いもしなかったのだろう。言葉を無くし目は俺をしっかり捉え硬直している。
「銃弾って回避できるんだな…」
俺と少女の間には何処と無く気まずい空気が流れていた。
「あ、えっと…」
少女は口を開き申し訳なさそうな表情をしていた。
「いや、気にしなくていい…と思うよ?」
少女が言いたいことは大抵は予想がつく。
「あ…うん。ありがとう…」
「こんな状況だ。仕方ないよ」
俺は落ちていたウェンチェスターを拾い。少女から1メートルのところに腰を下ろした。
「私の名前は優雅咲 玲(ゆうがざき れい)。さっきは撃ってごめんなさい」
「いいって、いいって。俺の名前は榊原涼夜、よろしくな!」
少女…玲は警戒心を解いていた。普通に見ると素直に可愛い。スタイルも良いし顔立ちも良い。
どこかの女優さんにでもいそうな感じだ。
こんな局面じゃなければ一目惚れしそうだった。
その後は名前以外の自己紹介をした。
驚いた…玲は中学生2・3年くらいかと思っていたが高校1年生で俺と同い年だったんだな。
こんな形で巡り会うとは…勿体ないな。
まぁこれからどうやっていけば良いのかは手探りだが、1人より2人だ。なんとかなるだろう…。
はい、どうも堕天使です。
この度は新小説を書かせてもらいました。
殺し合い…現実世界で起きたらどうなるんでしょうか。
貴方だったらどうしますか?
逃げますか?闘いますか?それとも…
堕天使
考査期間中に小説を書く