戦闘
「この魔族大陸には人間に角や触手が生えた知的生命体である魔族と知能を持たない魔物、少数だが人間に獣人に亜人も居るらしい。そして儂は知能を持って魔物として存在している。早く強くなる為には魔物を倒す事が一番の近道という事か」
目標を決めたら早い、おもむろに動き出す。すると一匹の青い体をした魔物を見つける。バスケットボール程の大きさであろうそれはまだ信長に気が付いていないようだ。信長は咄嗟に鑑定を向ける。
『名前【なし】
種族【ダークスライム】格【3】位【下級】
スキル【再生1】【吸収1】【闇耐性1】』
「あれも魔物の一種なのか?随分と珍妙だ。しかしこんなところで立ち止まってはならん。悪く思うなよスライムとやら」
そう言って自分のスキルである【猛撃】を使って肉薄し、拳を振るう。グシャリと効果音を伴いながら潰れた、かのように思えたがここでスライムの【再生】が発動し元の形状に戻る。
「ほう、そこまでしぶといとはな。だが次のこれならどうだ?」
そこから繰り出される怒涛の【猛撃】3連発にスライムはついに為すすべもなく殺される。すると今の戦闘の経験が自分の糧になり力が増していると信長は本能的に理解する。能力値を確認すると
『名前【織田信長】
種族【鬼】格【3】位【中級】
スキル【猛撃1】【硬化1】【鑑定1】
固有《ユニーク》スキル【王の種】【天下布武】』
「ふむ、やはり格とやらが増えていたが、どうやら格が生物としての純粋な力を表すのは正いらしい」
スライムを難なく倒した信長はある事に気が付いた。つい先程まで戦っていたスライムが来た方向に同じスライム達の巣があるという事だ。
「あれはスライムの巣ではないか?よし、奴らにも儂の糧になってもらうぞ」
♢♢♢
そこは比較的小さな洞窟だった。中にはたくさんのスライム、それも闇の森らしく闇を纏ったダークスライムだ。
スライムという生物は魔物の中でも特に知能が低く弱い。しかしそんな中でも生存出来るように仲間の繋がりは強固だ。何が言いたいのかというと仲間の一匹のスライムが死亡し、敵がこちらに接近している事を彼らは本能的に知覚したのだ。普段は弱いスライムが本当に危機に陥った時にだけ起こる事がある。それは集団の全員が1つに纏まり限定的に進化をする事だ。
彼らは待つ、侵略者が来るその時まで
♢♢♢
自らの勝利を疑わずついつい慢心する信長は洞窟へと辿り着いた。
「これがスライムの巣か、まあ儂の敵ではないという事に変わりはない」
と呟きながら洞窟へ一歩を踏み出したところで否が応でも気が付かされる。この中には先のスライムとは別格の魔物の雰囲気がするのだ。嫌な予感を感じつつもさらに先へと進む。数分は歩いただろうか、
信長の眼前には文字通りの闇が居た。
『名前【なし】
種族【ダークネススライム】格【1】位【上級】
スキル【再生3】【吸収3】【闇耐性3】【闇魔法3】』
鑑定してまず格の違いに驚く。しかし、呑気に対策は立てていられない。相手のダークネススライムは圧倒的な存在感を放ちながら攻撃せんとする。侵略者を殲滅するために。