表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

転生

天正10年6月2日、法華宗本門流の大本山である本能寺で1人の男が寺に火を放って自害しようとしていた。そう言わずと知れた天下人、織田信長である。明智光秀らに裏切られた信長は自分の最期を覚悟する。そして自らの周りで燃え盛っている火を見ながら息絶えた。その時の彼の表情は重苦に歪んだ表情だったという。

♢♢♢


突然だが死後の世界は存在するのだろうか。唯物論者なら生命活動は原子の集合と化学反応の産物だと言って死後の世界など認めないだろうし、熱心な宗教家なら死後の世界は存在すると言って譲らないだろう。しかし今の技術では結論の出ない難問だ。


唯一つ言えるのは死んだはずの信長から魂が抜け、それが何の因果か異世界にて彼に新たな人生を与えたという事だけである。それも異形の怪物として。



♢♢♢


異世界のとある森にて生前は織田信長として名を轟かせた男が倒れていた。しばらくすると意識が戻り、混乱しながらも周りを観察し始める。


(ここは一体何処だ?確か儂は本能寺で自害したはず。だとすると此処は死後の世界か。いや、これは)


一瞬そう考える信長だが持ち前の冷静さで現状を正確に理解する。そう信長の体は生前のそれではなく、真っ赤で異常なほどの筋肉質、その上鋭く大きな犬歯と頭から生えている1対2本の角を持っている伝承そのものの鬼だったのだ。そんな常識の埒外な現象から此処が死後の世界であるという考えを捨てる。


(この姿は鬼か?死んだと思ったらこうして存在しているし一体全体どうなっておるのだ)


さしもの信長でもそう嘆くしかない状況だろう。しかしそんな信長の嘆きに呼応するように1つの光の玉が彼に向かって浮かびながら向かって来るではないか。


(今度は光の玉か、まるで儂に触れて欲しいかの如く向かって来る。光の玉自体には得に敵意も感じられない。良かろう、触れてみる事にしようか)


そう思い光の玉に触れる信長、と同時に膨大な情報が彼の頭に送られる。彼が異世界に鬼として転生した事、この世界の地理に言語、自分が今魔族大陸(地球と同じ地理の惑星で大きさは地球の数倍、アジア地域が人間大陸・アフリカ地域が獣人大陸・ヨーロッパ地域が亜人大陸・NIS地域が未踏破領域・アメリカ地域が魔族大陸と考えると分かり易い)と呼称される大陸の南にある森に居る事等、送られてくる情報は様々である。


(うっ!何だこの情報量は!頭が破裂しそうだ)


一気に膨大な情報を取り込んだため、当然ながら信長の頭を激しく痛めつける。その痛みに何とか耐え全てを理解した信長はまず自分の能力値を確認することにした。


「この世界には自らの能力を確認する術があるらしい。確認したいと念じれば頭に浮かんでくるらしいが」


『名前【織田信長】

 種族【鬼】格【1】位【中級】

 スキル【猛撃1】【硬化1】【鑑定1】

 固有《ユニーク》スキル【王の種】【天下布武】』


そうして試しに念じてみると能力値が浮かび上がって来るではないか。光の玉から送られた知識を信用していなかった訳ではないがこれには信長も驚きを隠せない。それと同時に独りでに笑みも浮かべていた。その笑みが意味するのは何なのか、それは信長のみぞ知るといったところか。


「フッ、フッフッフツ!儂は今最高に気分が良い、何てったって終わったと思った人生がこんな形で再開できるのだから。儂は必ずやこの世界で天下をとる!」


これから始まるのは1度は天下目前で自害した男の再開の冒険譚。信長の未来は誰にも分からない。しかし1つだけ言えるのはこの異世界に嵐が巻き起こるという事だけだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ