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「お前を犠牲にしない、もう、これ以上、
誰も犠牲にしたくない
一緒に倒そう!?」
レオンに連れて行かれた所には、
さ迷い歩く老婆がいた。
見るからに混血の子供達が腹を空かせて泣いていた。
よろめく老婆をアルバは、思わず支えた。
焦点の合わない瞳でアルバの手を振り解き
立ち去っていく老婆の後ろ姿を見ながら
「・・・・何・・・・これは?」
恐る恐る聞くアルバにレオンは、
苦々しい表情で答える。
「・・・生贄に捧げられた者の家族と、
生贄を迎えに来た奴らに無理やり手を付けられた娘が
産んだ子らだ・・まず、この子らは、
子だと認められることは無い。」
そして・・・
そう言って、次にレオンに連れて行かれた所は、
沢山の人間が寝かされた診療所の
ような所だったが、
殆ど雨露と、申し訳程度の布団と辛うじてきれいに
保たれている水があるという、
うめき声があちこちで聞こえているような
場所だった。
「・・・・やつらは、この島になかった病気まで
ばら撒いていった、島に居なかった動物を連れてきて、
女達を襲って、男達を傷つけて・・」
最低限の治療はしているんだか、
治療薬がなかなか回ってこない。
苦々しげに唇を噛み締め
拳を握り締めるレオンの横顔に
アルバは、何も言えなかった。
(酷いよ、酷すぎるよ、同じ人間なのに、
生きている人なのに、
違う島の人だからって、こんな事して良いの?)
ヨロヨロと足元に近づいてきた小さな小さな子どもを思わず
アルバは、抱き上げた。
その頭だけが大きい棒切れのような子どもの
体に、ポトリポトリと
アルバの瞳から涙が零れた。
やせこけた病人達の肌に触れ、
誰の子か分からない子どもを孕まされた
アバラの浮いた幼い少女の呪いの言葉を聞いた。
「ここに居る奴は、この島はまだましなんだ、
俺達が海賊をして、稼いだ金で、食料を買ってきたり、
外国との取引で物資を最低限回してやれる、けど、
他の島に行くと栄養失調で、頭と腹が大きくて
頭に病気みたいのが(脳に障害が)
出てる赤ん坊とか居る。」
決意の瞳でレオンは、アルバを見ながら
言う、
「お前を犠牲にしない、もう、これ以上、
誰も犠牲にしたくない
一緒に倒そう!?」
アルバを助けてくれると言うレオンの
言葉、今後の犠牲をなくすと言う言葉
本心を言えば縋りたい、だけど、アルバは、
その言葉に心が痛かった。