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「お前を生贄にする訳にはいかない
・・・・・俺を、手伝ってくれないか?」
クレイコイ島の領主イクティヌスは、
アクリシオス島の領主リュデクテスから、
アルバ達を匿い存在を隠していたが、
アクリシオス島領主リュデクテスより、
聖獣ケートスを逃がしただけではなく、領主邸に押し入った
罪人、アルバを引き渡すように正式に申し入れがあった。
「『アルバ』などという少年も、『エーティル』と言う、女性も、
この島には、居ない。
それから、領主である私が、こともあろうに
『海賊』などを匿っているなどということは無い。」
必死でそう返答をしたイクティヌスだったが、
リュデクテスは、ここぞとばかりに
イクティヌスに詰め寄ってきた。
島連合の中でも中程度の島にも関わらず
レオン達の海賊組織
義賊『黄金の獅子』のお陰で、
少しだけ周りの島よりも裕福だった島民達は、
島の領主のイクティヌスに習って知らぬフリを決め込んでいたが、
何故か、それからイクティヌスの島に災いが降りかかってきた。
まず、幾人もの猟師達が
波に浚われたかのように船だけを残して忽然と消え、
数週間たって浜辺に打ち上げられた猟師達の姿は、
何か獣に襲われたかのように無残な死体だった。
次に、
都市々々の井戸から水が破裂するかのように吹き出たかと
思うと、一斉に赤い色の塩水に変わった。
そして、
ある日、急に、領主邸に流れ込んでいる川の魚が大量死した。
リュデクテスは、
『聖獣ケートスが、逃げたからだ』
『領主イクティヌスに庇われている《アルバ》が、
聖獣ケートスを逃がしたために災いが起きている
・・・・アルバを生贄に捧げよ』
と、言った。
リュデクテスは、聖獣ケートスを預かっている為に、
代々特別視されていた領主、
島々の連合の中でも
盟主と言っていいほどの領主達の首座の一人だった。
レオンは、それを受けて深く考え込んだ、
そして、
「お前を生贄にする訳にはいかない
・・・・・俺を、手伝ってくれないか?」
と、アルバに向かってレオンは、そう言った。