11
「ガマンするな・・、無理するな・・
キレイに笑うなよ・・・・私は、それが痛い。」
「・・・・・・」
その時、鎖の一本が外れた。
やっと頭だけ動かせたアルバは、
レオンの方を見て息を飲んだ。
「馬鹿・・・・馬鹿アルバ・・・・」
レオンは、泣いていた。
アルバと同じように青ざめた表情で、
アルバを石から庇ってくれた時の頭の傷と、
その前の弓矢から庇ってくれた腕の傷口に
包帯を巻いて、
服も、ここまで来るのにどうしたのか、
所々が破けてボロボロの姿をして
後から後からこぼれ落ちる涙も拭わずに
まだアルバを縛り付けている鎖を切ろうとしていた。
「お前が、そんなんだから・・・
俺・・私は、たまらなく・・・・・」
「・・・え!?」
レオンの泣き顔をじっと見ているアルバの目に、
見るなとでも言いたげに
手のひらを被せるとレオンは、
そっとアルバの方に顔を寄せ、
「お前・・・・アルバ、お前を絶対死なせないから・・・」
吐息と一緒にそんな言葉をアルバに渡す。
「・・・どうして・・・・どうしてなの・・・・そんなに。
僕、僕は、レオンが傷つく方が痛いよぅ」
そう言葉を返すアルバに重ねてレオンが言う。
「ガマンするな・・、無理するな・・
キレイに笑うなよ・・・・私・・は、それが痛い。」
急ぐぞ、ちょっと手荒になる
そう言って、レオンは、アルバの鎖を断ち切った。
アルバの心の中で何かがカタンと鳴るのを感じた。