荒れていない土地
鰊、埋めた。
砂で蹴った。体躯に痛みが走った。
雲が揺らされている。背が三センチメートル伸びた。
鮪をひとパック買った。酒はぜんぶ呑みつくした。
千円を両替した。まだこの時間の電車には誰もいない。
朝が暗かった、今日は四時十三分に目が覚めた。
薬缶がなった。昨日本を二冊借りた、一冊はその日に返した。
南座にはもう十年も行っていない。
一昨年が最後の気絶だった、ここ一年で三度棘が足に刺さった。
飛行機には二回しか乗っていない、女性に容貌は受けない。
金銭は感覚を崩した、父親に暴力を振るわれたことはない。
旅の範疇は心外に大きい、国分寺のコールタールが懐かしい。
最近髪が薄く(いろしろく)なった。
薬缶を消した。今日は一冊も本を読んでいない。
踵の低い馬に人参をやって、怖くて、泣いて、イルカを見に行った。
自生した金木犀を食べて、吐いて、
腰かけたベンチに赤い葉虫が走っていて、本を喰う虫に顔が似ていて、
近くに坐った子供がそれを潰して、
博物館の傍を城みたいなフェリーが通って、
その公園の並木が背中に痒くて、風が痒くて
向って進んで塔に上る。観覧車みえる。
海が遠くで青い。少し彼方風寒い。
鰊うどん食いたい。