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寿司十八貫目 ガリはデザート!
「まーたこんなに散らかして……」
一晩でよくもこんなに散らかせたものだとむしろ感心しながら、三春はゲーム部屋の片付けをする。
朝方までゲームしていたらしい三人は二階の寝室で死んだように眠っており、既に西日が山の端に消えようというのに起きてくる気配は微塵も無かった。
菓子のゴミを捨て、通信販売で購入した何かが入っていたのだろう段ボールをどけると、そこには見覚えのある賞状が無造作に転がっていた。
だがそれは三春の知っているそれよりも立派な額縁で、三春の受け取った賞状よりも格が高いことを容易に理解させる。
「パティシエ世界大会優勝、松波忠七朗……」
フランス語で書かれたその賞状はようするにそういうことであった。
三春が出場し準優勝した大会の優勝者は、あろうことか忠七朗だったのだ。
「やっぱり納得いかない……」
三春はその賞状を棚に飾り直すと、珍しく機嫌の悪い表情を浮かべて、誰にいうでもなく、その場で叫んだ。
「ガリがデザートな訳あるかっ!!」




