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第30~31話 Insert-07:Basic-

 

 本編が投稿できる状態ではなくなった――そういう理由からもう少し早めに投稿する予定だったのに……orz


 すいません。

 体力的に限界なもんで、投稿がかなり遅れると思われます。(本編は)




 

 

「まずは走れ」



 訓練開始初期。

 立派な顎鬚を生やしたアラブ人は言った。



「人目が気になるなら、わざと遅刻をしそうになり、それを口実に学校まで走れ」



 それが、ある意味で最初の訓練でもあった。“まともに・訓練らしい”という意味で。



「暇な時は握力を鍛えろ。

 それか、体を(ほぐ)しておけ。柔軟も大切だってことくらい知っているだろ?」



 登校から帰宅までの間に授業は6科。休み時間はトータルで1時間以上ある。

 それら時間の中に合間を見つけ、トキはカリヴァンに言いつけられたショートメニューを可能な限り実践した。

 バイトで体力を有すると口実しておき、昼食前に腕立て伏せと腹筋、柔軟を繰り返し、授業中に暇を見つけては拳の開閉による握力強化。ついでに飛来するチョークを躱したところで蓮雅に厳重注意されてペナルティ問題=宿題を出されて頭も強化(微々たるものだが)。

 クラスが休み時間となって騒ぎ出すと教室を飛び出し、男子トイレに駆け込んでP■Pの最新ゲームソフトを全力攻略。時には全力疾走で最上階まで駆け、2分だけゲームに勤しみ、また全力疾走で教室まで戻るということもあった。



「気が付いた時だけでもいいからイメージトレーニングをしろ」



 あらゆる場面を想像して攻略してみる。

 狙撃、強襲、追尾、扮装、人海戦術……etc。ゲームを攻略するかのように、頭で仮想の敵を描き、捉え続ける。居もしない武装兵に、在りもしない得物を向け、撃たれるより早く敵を撃つイメージを重ねる。実戦とは程遠い感覚の仮想訓練だが、その繰り返しは日を追うごとに鮮明さを増していった。


 カーチスらの訓練の合間に行われる日常の中、トキは芹真たちとの出会いを境に始まった非現実的な出来事たちを思い出していた。


 イマル・リーゼによる高校襲撃。

 黒羽商会との戦闘。

 桜色の雪が降った夏の日――コントンに死淵へと追い込まれた日。


 これまでの体験に加えて、クリアスペースという訓練教官たちとの交戦を経て蓄積された戦闘経験が実る。イメージトレーニングの相手はいつしか、武装した雑兵ではなくSRやコントローラーと呼ばれる仮想ではあるが異能、強敵に換わっていた。



「戦争に生き延びるために人は全力で知恵を絞る。

 ゲリラ戦だろうが市街地戦だろうが、或いは大量殺戮だろうと変わりない。いかに被弾せずに相手を討つかが肝心だ。まずそのことを銘じておけ。速度や得物、標的までの距離やその他諸々の手段や環境を考えるのはそれからだ」



 日常、学習。

 訓練、敗北。

 時に勝利。

 だが、束の間の酔い。

 間髪なく煌めく瞬殺の嵐。

 その中で、繰り返し、流動し、諦めず繰り返すうちに攻略法が見える。

 突破したら次の壁が手を振っていた。



「筋肉を鍛えるのが嫌になったら精神を養え。

 その鍛錬に限界が見えたら知識を蓄えろ。何でもいい」



 登校、帰宅。

 僅かな時間を見つけて新作ゲームをクリアする。

 現実で、トキはそういった娯楽媒体からいくつかヒントを得ていた。

 ゲームの世界で得た知識。それらを貪欲に取り込んでイメージの中で織り交ぜ、惜しみなく繰り出してみる。

 射撃、格闘、剣術、組技。

 待ち伏せ、奇襲、正面突破、対決の駆け引き。



「お前だけの“あの技”も気取られない程度に生活で使えるようにしておけ」



 時間を静止・低速化させるタイムリーダー。

 物体から時間を奪うクロノセプター。


 机上の筆記用具で奪取創造を繰り返し試行し、頻繁に(つまづ)く日常をタイムリーダーの加速で防ぎ、物を落とした場合も低速化した世界に入って拾うなど、あらゆる場面において不自然さを周囲に感じさせない程度に行い、見事誰にも気取られることなく2か月過ごしてみせた。



「さぁ、訓練を続けるぞ」



 追加されるメニューをこなす。

 早撃ち、ランニングショット、屋内近距離戦闘、狙撃への対応、能力者同士の戦闘、非武装格闘……etc。



「弾丸など躱せ。できるんだろ?」



 鬼教官と呼ばれていたカリヴァンは、皆の前で訓練することを避けて個人メニューを言い渡すばかりだった。



「邪魔が入るからな。

 次だ。

 投げるモノすべてを撃ち落とせ」



 訓練は時に厳しく、たまに意味不明で、そもそも人間にできる範疇を超過している要求すら出てくる。

 時に瓶を撃ち、缶を撃ち、飛ぶ鳥を落とし、芹真のコーヒーカップを撃ち抜き――殴られ――空薬莢を撃ち、ビー玉を撃つ。

 毎回変わる的。

 そしてついに人肉を……



「!?」


「ただの死体だ!

 全て撃ち抜けと言っただろう!」



 腕だった肉が飛ぶ。

 心臓だったかもしれない形の物が飛ぶ。

 極めつけは頭が飛んで来るが――



(俺!?)

「どうした!撃てないのか!

 それが“お前に似た誰か”のモノだったらどうする!」



 たまにイジメのような事をされることがあっても、カリヴァンは必ずその理由を話してくれるから断言できる。全ては経験に基づいた(それでも大分遠回りをしているらしい)トレーニングメニューなのだ。

 イジメというものはあり得ない、ただこちらがそう意識してしまう、ある意味で被害妄想が起こっているだけ。



「敵が自分の顔を装ってきた場合、出会い頭が最も隙を生みやすい瞬間に他ならない」



 という訳で自分とソックリな顔を何とか撃てるようになった所で――



「俺の言った事を忘れるなよ。

 毎日何かやれ。

 さて実戦だ」



 今日もまた、カリヴァン以外の誰かに殺されては蘇生される訓練が始まるのであった。


 いつも通り本気の演習。

 死にかけ、逃げ損ねて死に、無理矢理蘇生を施されて再び武器を取る。

 でも、すぐ半殺しにされる。

 アドバイスを貰って、少しは長く生きられるようになるが、やはり叩きのめされる。


 そんな殺伐とした演習を終えた後の屋上での食事は、僅かずつだがトキに安息の時間を思わせた。


 戦うことの辛さと、食事ができることの喜びを無意識に刷り込まれていたりするのであった。






 Second Real/Virtual


 -Second Real Training-


 -07:Basics/8人-






「ねぇ、ボルトちゃん」

「ん~?」


「ここまでトキってさぁ、一通り撃破してるっけ?」

「まだだよ」


「残り三人隠してるけど、勝てると思う?」

「……………………ぅ~」


「“ミーナちゃん”には無理だね」

「うん、無理」


「“ジム”にも無理か~」

「……あれ、そんな人居たっけ?」


「前回来てない人」

「今までが六人だから~、もう一人は?

 何か覚えないけど」


(中身変化したな、コリャ)

「ねぇ~」


「もう一人も、前回来れなかった人だよ」

「シャ――何とか?」


「そうそう♪

 私たち空師団、特殊空師団の中でも特異濃色なのがクリアスペースなんだけど、その中で更に色々な意味で異色っていえる人なのよ」

「強いんだよね?」


「多分。

 クロードのカラーコントローラーとも違うし、カーチスのスペースコントローラーとも別。もっと分かりやすくて、でも文明世界じゃどうしようも出来ない能力よ。もっと言うなら、惑星の上に居ると強力な力よ」


「ミーナちゃんのオールコントローラーとも違うの?」

「勿論」


「じゃあ、ぶつけてみようか」



 二人揃って手元の、即興で作成したメモに目を落とす。

 それには、現時点での色世時の勝敗状況――3勝206敗4引き分け――や、これまで対戦してきたクリアスペースメンバーの名前と特徴が一言。

 それから、名前の左端にボルト・ナイン両者基準の難易度指数が書かれた数字が記されていた。



「しっかし、いきなりレベル上がるけど大丈夫かな?」

「大丈夫だよ。

 トキはゲーマーだもん?」


「ん?」

「慣れればどんどん上を求めていくタイプだよ~、ただ自分の興味あること限定だけど」



 こうしてまた、トキの知らないところでカードは組まれるのであった。


 → Next vs.Chaty Whiterize




 ※二人のメモ内容(上から[難易度指数][名前][特徴]となっている)


【注意】

1:このメモは、二人の率直な感想がストレートに記述されている。


2:難易度指数は最低1、最高20とする


 一人目。

【11】

 インスタイル・フィーラー

・剛脚、不器用、素晴らしきポニーテール、姐御、風の人


 二人目。

【12】

 カリヴァン

・髭、髭、髭、ガトリングの人、手加減できる、千里眼の人、髭


 三人目。

【18】

 ミヒロ・ホムラ

・赤い人、酒豪、音楽馬鹿、すぐキレる、赤い人、Cカップ、剣使い、高速の人、姉or妹(未だどっちか不明)


 四人目。

【15(19)】

 クロード・ハーツ

・殺人鬼、ハンドガンナー、手加減不可、荒らし、すぐキレた、うるさい人、無礼、死ね、ムードメーカー疑惑、筆頭汚点、器用、面倒見は○、だが死ね、色々色の人


 五人目。

【7(20)】

 トニー・カーチス

・金○武、いや0円男、殺し屋、手加減上手し、統括リーダー、まとも人、実は強い、異空間リンクの人


 ――New&Next――


 六人目(予定)

【20】

 シャティ・ホワイトライズ

・まとも人、怒らない人、料理長、いい匂いの人、相思相愛、やばい、メタルコントローラー


 七人目(予定)

【10(20+)】

 ジム・D・ハミルトン

・まとも直前人、マルチコントローラー、静かな人、不器用、切り札、相思相愛、人工傭兵


 最後(予定)

【20+】

 ミーナ・アミナスキャル

・隊長、強、酒最弱、やっちゃった人、妹、多変攻撃コート、単独三手、人工傭兵、オールコントローラー


==予備==

【16】

 無我ユウ

・部外者、全部地面の人、グラビティコントローラー、人工傭兵



 以上、第三者が見れば確実にハテナと首をかしげるであろう、無意味な単語率が異常に高いメイドバイボルト・ナイン、両者によるクリアスペース(+α)の全アタッカーリストもどきであり、そしてトキの対戦相手&対戦予定相手一覧であった。



 

 

 ただでさえキャラが多いのに増やすなー!(ぼると)

 俺のキャラ密度を返しやがれ!(せりま)

 食費が………!!(あい)

 訓練キツいです(とき)


 許せ(くりあすぺ~す一同(来てない3名含まず))



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