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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アネモネ

作者: 沙耶


「きっと、もうじきアネモネが咲くでしょうね」


 彼女は、そう言った。嘘なのは、わかっていた。



 もしも、私と彼女が男と女だったとしたら。

 彼女が、お金持ちの家庭じゃなく、ごくごく普通の家庭の娘だったなら。

 私は、こんなに悩むこともなかったのでしょう。

 これが、普通の恋だったならと、私は何度思ったことか。

 そんな彼女が、突然言い出したのは、見合いのお話。


「私、見合いのお話がきているの」


 ごくごく普通の話をするかのように、彼女はつぶやいた。

 私は「へえ」といいながら爪を噛む。

 彼女が好きなカラオケ帰りの出来事だった。こんな不意打ち、夢にも思っていなかった。

「どうするの」

「勿論、結婚を前提に考えるわ」

 顔色を何も変えずに、彼女はいった。

「そっか」 私はそれしかいえなかった。

 後ろでなっていた、パトカーの音がうるさかった。


 私は、別にレズビアンだとかそういうのではないのはよくわかっていた。

 過去何人もの男性と付き合い、キスをして、セックスをした。その、男性を好きになったように、私は彼女のことを好きになった。これは間違いなのだろうか?

 彼女に告白をしたとき、彼女は顔を赤らめることすらせずに「じゃあ付き合いましょうか」といった。その後、私達は普通の恋人みたいに、デートして、キスをして、セックスをした。

 だけど、時々コンビニに行くときだとかに出くわす「普通の」カップルをみると羨ましく感じた。

 もしも、私達がごくごく普通の恋人同士だったなら、と。

 結婚もできないし、子供も産めない……一つにもなれない。

 不満を感じないわけもない。けど、そんな不満なんかより、彼女のことを好きな気持ちのほうが大きかった。

 けれど、彼女が私のことを好きなのか、疑ったことは何度もあった。

 よく考えたら、私は彼女に


「好き」


 といわれたことが一度もなかったのだ。


 

 いつも私はまるで女友達のように彼女の隣にいる。

 それはとても悲しいけれど、仕方ないのはわかっていた。

 彼女は、どこにいても、高嶺の花のように扱われる……そんな女の子だ。

 多分彼女のことを好きな男の人は沢山いるだろう。

 私はふと、思って彼女に聞いてみた。

 二人きりの私の部屋で。

「あなたは、男の人とか興味ないの?」

 彼女は不思議そうな顔をした。

「どうして?」

「だって、私は女じゃないの」

 はぁ、とため息をついて。彼女は文庫本を開こうとするバイロンの詩集だ。

「話きいてよ」

「……男とか女とか関係あるの?」

 怒っている、けれど彼女はとても上品に、いう。

 けれど私は言葉を綴る。

「普通、女は男と付き合うものでしょう?」

 彼女の顔をみると、かすかに目が潤んでいた。

 まずい、私は冷や汗をかく。

「ごめん、忘れて」

「あなたのいう通りよ」彼女は斜め下を見ながら、小さな声でつぶやく。

「私とあなたの関係は歪だわ。けれど、それが悪いって言うの? もしかしたらおかしいのかもしれない、けれど、私はあなたの傍にいたい。もしも結婚したとしても、私はあなたのことを忘れることは一日たりともないわ」

 私は、黙って彼女の真っ黒い髪の毛を撫でる。撫でてるうちに、視界がだんだんぼやけて、たくさん、たくさん涙が溢れて止まらなくなる。彼女はきょとんとした顔をしてこちらをみる。

 ああ、彼女を離したくない。

 彼女が、私以外の男に笑顔を向けるのも。

 彼女が、私以外の人間にキスをするのも。

 彼女が、私以外の生物に触れるのにも。

 きっとすべてに私は嫉妬する。

 世界に私と、彼女だけならいいのに。

 

 ああ、なんで私……女なのかなあ……。


 彼女の、真っ白なウェディングドレスを、みたかった。


 こんなこと、彼女にはいえないけれど。


「泣かないで」

 優しい彼女は、私に優しくする。誰にでも優しい彼女のことが、私は少し嫌いだ。

「別に……」

「あのね」

 あなたにあげたい花があるの。 彼女は笑顔で大きな鞄の中を探る。

「これ、アネモネって花。赤色と、紫色。これ私が大好きな花だから……」

 恥ずかしがりながら、渡す彼女はとても可愛い。

「うん、大事にするね」

「よかった」 彼女はそういってから、帰り支度をして、私の部屋からでた。

 アネモネって、よく小説のタイトルや歌の歌詞だとかにでてくるけれど。綺麗な花だな……。

 そう思いながら自室のPCの電源をつける。

 

 インターネットの画面を開いて私は暇なので、「アネモネ」で検索をかけた。 

 そうすると「花言葉」というキーワードがあったのでクリックする。

 すると、二つの言葉がでてきた。

 


 私は、一人、声を殺して泣いた。

 

 彼女が私の前に現れることは、それ以来なかった。

詩みたいなお話になりました。

アネモネの花言葉は赤いアネモネは「あなたを愛します」紫のアネモネは「あなたを信じて待つ」という意味らしいです。

他にも「期待・希望」だとかの意味のアネモネもあります。序盤の台詞が嘘なのは、主人公は彼女が自分が「結婚」という言葉をきいても何もアクションを起こさないということを自分自身わかっていたから。

あれ? 何か日本語おかしい? まあいいや。

まあ、彼女の期待や希望が実ることはないという意味です。

なんだかんだで、禁断の恋って、つか女の子ってさらって欲しい願望があるんですよ、

という後付け。

勢い任せて書いたんでおかしな点が多いですが許してほしーな。

あと後々気がついたけど、私描写書くの下手だね!

昔はもっちょっとまともにかけたのになあ。

もう少しがんばります。

あと、作者は別に百合属性はないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後主人公が調べた花言葉を、作中に書かないことにで、すっきりとしていて、かつ名残惜しいような不思議な感覚が残りました。 [一言] わたしも連れ去られてみたいです。笑
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