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情報屋×死神:死神との会話

首が飛んだり、首が撥ねたり、首が切れたり、首が翔んだり、首が跳ねたり、首が斬れたり、いろいろします(ちょっと誇張してます)。

人は間違いなく死にます。

15歳以下は見ない方が無難です(たぶん)。


これを読んで気分が悪くなったと言われても正直困ります。



 何でもできるから……いや、何でもできてしまうからこそ何もしない。いや違うな、何でもできてしまうからこそ何もできない――そんな万能な能力があったらどうする?

「おいおい、その能力は万能じゃないぜ。万能の域を越えてるし、なにより…何でもできてしまうからこそ何もできないなんて不便すぎるだろ?」

 万能の域を越えてる。か……じゃあ万能を越えたこれは何なんだろうね。

「そう悲観的に自虐的に悲壮的に外罰的に狂的になるなよ?それがあっても結局何もできないんじゃ、無いのと何も変わらないさ」

 そこまで酷くないと思うけどな。っと、話が少し逸れてしまったね。君がこれを持っていたら……君ならどうするか聞いておきたいんだ。

「どうするもなにも……どうしようもないんじゃないのか?何でもできてしまうからこそ何にもできないんだろ?じゃあ、やっぱりどうしようもないな」

 まぁね。結局はそうゆうことなんだろうよ。

「あぁ、そういうことなんだろうな」

 夢や希望は簡単には叶わないってことかな。

「当たり前だ。こちとら現実にだって適わないってのによ……」

 やっぱりぼくたちは似ているのかな。

「あぁ、似てるな」

 ぼくにこれがなければ君みたいになってたと思うよ。

「俺にそれがあればお前みたいになってたってか?」

 そうだね。でも君みたいな死神になるくらいならこれを持ち続けるほうがいいね。

「はっ、間違いねぇ。俺もそれを持って――になるくらいなら死神でい続けるほうがマシだな」

 ぼくたちは近すぎて近すぎて近すぎるからこそ交わらない。いや、交われないんだろうよ。水と油のようなものだね。同じ液体でありながらも決して交わることがない。

「水と油じゃ全然ものが違うけどな。だが交わることがないってのは間違っちゃいない。まるで俺たちは鏡に写った図形なんだ。つまり相似しているわけよ、証明するまでもなく……な。」

 それくらいわかってるよ。

「わかってるってこともわかってたけどな」

 お互いにね。

「はっ、間違いねぇな」

 また話が逸れてるね。

「まぁ、当然といえば当然だ。俺とお前の会話が筋道立てて答えにたどりつくなんて、それこそ夢のまた夢だろう?」

 お互い困った性格してるね。まぁ、だからこそぼくたちは似て非なる存在なんだろうけどね。

「その通りだな。っていうか、また話が逸れはじめてるぜ」

 あぁ、ほんとだ。案外気づかないものだね。

「それはお前の性格の問題じゃねえのか?」

 そういう君も似たようなものなのにね。

「アホか。似ているだけで俺とお前は違う人間だろうが。まぁお前は人間か怪しいとこだけどな」

 人間じゃないなんて酷い言いようだね。そういう君は死神だろう?人間の枠から外れてるのは一緒だよ。

「はっ、お前ほどじゃねえよ」

 それもそうだね。それより話を戻そう、ぼくはこれをどうするべきなのか……これを君に聞きたかったんだよ。

「それは初耳だぜ」

 あれ、言わなかったっけ?

「言ってねえよ。会話をはじめてからまだ十五分とたってねえぜ?なんでそんなこと忘れてんだよ」

 それも情報のうちだからね。これを持っているかぎりどうしようもないことだよ。

「はっ、それの後遺症ってか?」

 そういうことかな。

「やっぱりそれは何でもできてしまうからこそ何にもできない能力……か。そのうえ後遺症付きかよ」

 慣れれば後遺症の方は問題ないよ。それよりもこれを狙うやつが減らないのが問題だね……一応立場上中立を保ってるんだけどね。というか持っていけるものなら持っていってほしいくらいなのに、どうしようもないからまったくもってどうしようもないよ。

「なんだ、自分でわかってるんじゃねえか。どうしようもないことはどうしようもない。これはこの世界の真理だぜ?まぁ、こんなどうしようもない世界だからこそ俺はこの世界を愛していられる。いや、この世界に存在する全ての人間を愛していられるんだけどな」

 つまり、現状維持ってことかい?

「おいおい、軽く流しやがったな。俺の血管が浮き出てるのに気づいてないのか?」

 まぁまぁ、気づいてるからそんなに怒るなよ。君と違ってぼくはひどくこの世界を嫌ってるからね……この世界がぼくを嫌ってると言ったほうが正しいかな?まぁ、嫌わざるをえないんだろうけどね。つまりぼくはこの世界なんかよりぼく自身のほうがよっぽど嫌いなんだよ。だからぼくはこの世界について語らない。これはぼく自身に対してのルール。

「はっ、馬鹿みてえだぜ?」 もう気づいてるよ。

「気づいてるなら別にいいさ。まぁ、そんなわけだから俺は愛しているこの世界の人々を殺して壊して潰してバラしてやりたいのよ」

 どんなわけかわかりにくいね。とにかく、君は死神である以前に根っからの殺人鬼だってことはわかったよ。

「はっ、それで十分だ」

 ところで、君はいつになったら帰るんだい?

「あぁ?俺はお前に呼ばれて来たんだが?」

 あれ、そうだったっけ?

「忘れてたのかよ」

 あいにくと物忘れが激しくてね。

「はっ、そうかよ。で?お前はこれからそれをどうすることにしたんだ?」

 そうだね……傍観を続けるかな。

「はっ、そりゃそうか。お前が動けば俺の愛する世界が崩壊しかねんしな」

 そういうこと。最初から答えは決まってたんだね。

「俺たちの話し合いで答えに行き着くはずないしな」

 筋道が枝分かれしてもいいならいつか答えにたどり着くさ。それもこの世界の真理だろ?

「はっ、そりゃ間違いねえ。ただお前が真理の中に当てはまるか、それが問題だけどな」

 自然法則にも道徳法則にも限界効用逓減の法則にも大数の法則にもグレシャムの法則にもどんな法則にだってこれは含まれていないってかい?

「皮肉なもんだな。でも、俺はわかってるさ……もちろんお前だってすでにわかっているはずだ。お前が動くべき時はすぐ近くまで来ているってな」

 ……そんなのぼくの情報には含まれていないよ。

「はっ、知らないふりってか?苦し紛れもいいとこだな、お前が知らないことなんかこの世にないはずだろ?」

 さあね。

「はっ、まぁお前に会って俺の今後の方針も決まったし、そろそろ行くことにするよ」

 そうしてくれ。まったく、なんで来たのか……。

「お前一回殺しておきたいな、マジで」

 遠慮しておくよ。

「はっ、食えねえやつ……じゃあな、なんかあったらそれで連絡しろよな」

 あぁ、じゃあな。




――これはぼくと死神との会話

――これはぼくと死神との関係

――これはぼくと死神との交した言葉



二〇〇七年四月十三日金曜日より


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