『おやすみなさい』
これは二部制です。
ぜひとももう一つの『おはよう』も見てください。
まぁ、たいして内容は変わりませんけども・・・。
私は子供の時から誰かに尽くしたがる人でした。
その癖、私はいつもこの人は違う…そういう思いを胸に秘めていました。
私はいつも尽くしてあげたいと思っていたのですが、それと同時に尽くしたい人を探していたのです。
そしてその尽くしたい人はいつも居らず、私は困惑していました。
そんな私に転機が起こりました。
それはなんと許嫁です。
私はその話を聞いたとき、半ば夢を諦めるような気持ちでした。
だって、私の尽くしたい人が勝手に決まってしまう…と、思ったのですから…。
ですが彼に会った瞬間、私の中の何かが騒ぎました。
私の尽くしたい人という言葉をそのまま表したかのような容姿に、蒼い紫陽花の着物、そして優しさを感じさせる瞳。
全てが私の望み通りでした。
あぁ、今思えば私は彼に出会った瞬間にはもう惚れていたのですね…。
そしてその日から私の彼への奉仕が始まりました。
毎日彼を起こし、ご飯を作り、常に一緒にいる。
彼に迷惑がかからないように半歩後ろを歩くことも心掛けました。
もちろん不満なんてありませんでした。
私が尽くすと彼は決まって嬉しそうに微笑んだりするのです。
私にはそれだけで十分でした。
あ、いえ、そういえば不満は一つだけありましたね。
幼い頃は許嫁がいるというだけでイジメの対象にもなったのですが、そのとき彼は私の庇ったのですよ。
そしてイジメの次の日には私達を揶揄する人は誰もいなくなっていました。
彼が何をしたのかは知りませんが、危ない事をしたことはわかっています。
私としてはそれだけが不満です。
そして時は流れ、私達は大学生をになりました。
そのとき、私の中でとある思いが膨らみました。
それは私達は許嫁にも関わらず、今まで接吻したこともないことです。
なので私は大学入学の日、彼に大学の屋上へ来てほしいという手紙を送りました。
今まで私は彼を呼びとめたことも、ましてや手紙を書いたこともありませんでした。
それは常に一緒にいて、目で通じ合える仲だったからです。
そして私は一世一代の思いを込めて彼に告白しようとしました。
しかしそれは失敗になりました。
なんと私が彼に告白しようとした瞬間に彼は勢いよく頭を下げ、結婚してくださいと言ったのです。
私は驚きましたよ。
私は交際を申し込もうとしたのに彼がプロポーズしたのですから。
・・・後から聞いたのですが彼は私が彼と同棲を始めたときにはもう交際していたと思っていたらしいのです。
彼が高校生のある日、一緒に住まないか?と聞いてきたのはそういうことだったのですね。
そして私達は結婚しました。
結婚しても対して何も変わったように感じませんでした。
同棲している頃から私はご飯などの主婦業をしていましたから。
あ、でも一つだけ目に見える変わったことがありましたね。
それは彼とのスキンシップです。
結婚したその日…いわゆる初夜ですね。
彼の気持ちをたくさん知ることができまして…。
その日から私と彼の触れあいが増えました。
そして私に子供ができ、彼が出世し、人生は順風満帆です。
今、彼は私がお布団を出している間にお風呂に入ってます。
40歳になった私は彼の為に今日も誠心誠意を込めて奉仕します。
彼はいつでも私に優しくしてくれる。
だから私はそんな彼の為に私の全てを捧げたい。
「ふぅ…」
どうやら彼がお風呂から出たみたいですね。
そんな彼に私はいつもの挨拶をします。
いつも愛しています、そしてこれからもよろしくおねがいします。
そんな思いを込めて彼に言います。
『おやすみなさい』と。




