84.突然の帰宅
(1)0歳編
エリアーナSide
夜は寝るまで子供だけの時間を過ごし、いつもよりゆっくりの時間に皆んなでおやすみをした。
朝起きると、もう大人たちの姿はなく、またしても私が子供の中で一番乗りで起きた。
1人でベッドから降りるのはまだ危ないので、誰か起きないかなと様子を伺う。
すると、イル兄様が最初に起きた。
「イル兄様:おはよう、リア。よく眠れた?」
「リア:あい!おはようごじゃいましゅ」
その声に他の姉兄達も起きたので、挨拶を交わす。
ルナを呼び、身支度をして食堂へ向かう。
しかし何故か屋敷内が慌ただしい。
ルナも事情を知らず、他の使用人に声をかける。
「ルナ:皆様、曾お祖父様と曾お祖母様が来られたそうですよ」
私たちにハテナが浮かぶ。
たしか今日来るのは、父様の妹家族と弟家族だけのはず。
曾お祖父様や曾お祖母様が居ることは知っているが、私が生まれても帰ってこなかったとお祖父様が言っていたから、てっきり会いたくないのだと思っていた。
そんな人達が帰ってきたそうだ。
公爵家の使用人たちは、本来、焦りや不安、バタバタの様子を見せてはいけない。
相手に付け入る隙を与えるからだ。
だが、今日は無理そうだ……。
多分連絡もなかったのだろう。
食堂につき、席に着くが両親も祖父母も居ない。
すると、ギルバートが入ってきた。
「ギルバート:皆様、申し訳ございません。旦那様たちは大旦那様のご対応で、朝食はご一緒できないそうです。この後のこともありますし、しっかり朝食を召し上がっていてください」
それだけ言うと、食堂を出ていった。
さすが、執事長なだけあって忙しさが表情や行動には出ていない。
「イル兄様:仕方ないから僕たちだけで食べようか」
寂しい朝食になってしまったが、仕方がない。
兄弟姉妹で話をしながら、朝食を取り、呼びに来たロナと一緒にサロンへ向かう。
私はまだ少ししか歩けないので、ルナに抱かれての移動だ。
サロンに着くと、そこには大柄の男性と小柄だけど強そうな女性が座っていた。
お祖父様、お祖母様、父様、母様もいて、なんだかお疲れのご様子……。
きっとこの人達が、曾お祖父様と曾お祖母様なのだろう。
とんでもない人達なのだろうか?
今は髪も瞳も銀色。
そしてフードもない。
魔道具は辛うじてあるけど、どうしたらいいのだろう……。




