79.真偽の水晶
(1)0歳編
エリアーナSide
問題なく魔道具が作動したのを確認してもらい、ギルバートが小窓を開ける。
馬車自体にもカルティール公爵家の紋、白龍とスペードの紋章があるので、カルティール家が来たというのは分かるが、ギルバートが紋章の着いた懐中時計を見せる。
「ギルバート:初めて王都へ来たお嬢様が乗っておられるので、検査をお願いしたい」
検査をする騎士さんが、公爵家の到着にザワザワとし出す。
公爵家はこの国に4家あり、全員が準王族。
国の宰相や大臣にはなれないし、王位継承権は持たないが、王を推薦、任命、罷免する権利は持っている。
そのため、呼ばれたり、社交シーズンになったり、たまの仕事のためにしか王都へは来ず、領地経営と四方から国の守護と反逆者や盗賊などが出ないようにしたり、出てしまった場合の報告に殲滅などをしている。
公爵家とは言わば諸刃の剣なので、誰も敵に回したくはない存在だ。
相手が王族だろうと、敬う時と諌める時をしっかり分けているのだから。
そんな公爵家の馬車が来たとなれば、驚くのだろうと、お祖父様が言う。
なんでも勉強になるな。
入場検査の準備が出来たのか、外から呼ばれる。
一応フード付きのポンチョを着て、浅めにフードも被る。
金髪に碧眼の色は父様、顔は母様そっくりな見た目だが、一応だ。
父様に抱えられ、外へ出る。
ザワザワが大きくなり、私が顔を上げると静寂が訪れた。
えっ?私の顔になにか?
それとも父様?
「父:私の娘に何か?」
どうやら私のことだったみたいだ。
父様が声をかけると、慌てたように動き出した人々。
「父:リアの顔はとても美しいから耐性のない人たちはこれからもこうなるかもしれないよ」
小声で私にだけ聞こえる声で、父様が呟く。
私はその言葉を聞き、小さく頷いた。
「こちらへどうぞ」と言われ、台の前に進み出る。
そして手をかざすと青白く光った。
青く光れば問題なしで、赤く光れば犯罪者、黄色く光れば要注意人物らしい。
要注意とは、犯罪は犯していないが、犯罪スレスレのことをしていたり、刑期を終えた元犯罪者とのこと。
私の場合は青く光ったので、簡単に仮の身分証が発行される。
滞在が長くなれば3歳未満の子供に発行される、幼児用の身分証を作り、仮のものを返す必要がある。
教会か、各ギルドで発行してもらえるので、近いうちに向かうようだ。
でもまずは、通行料を払ったので馬車に乗り込み、いざ王都の屋敷へ!




