77.欲望が溢れ出す
(1)0歳編
エリアーナSide
満たされる……。
話もそこそこに、精霊様達の許可をとり、撫でさせてもらい、顔を埋め、抱きしめる。
まだ1歳未満の私には抱き上げたり、膝の上に乗せれば重いだろうと思っていたが、聖獣姿の時は特に体重を無くせるそう。
だからと言って風に吹き飛ばされたりすることはなく、重力操作をして、重さを加えることも可能なんだとか。
今は、シア姉様やヨシュ兄様のところへ精霊様たちが自ら近づいていき、遠慮していたが、撫でたり膝の上に抱き抱えたりしている。
子供だからと言って、乱暴にしたりはしないので、精霊様たちも安心して撫でられている。
なんならもう少し強く撫でてと言っている。
大人たちも羨ましそうに見ているので、『順番な』と言われていた。
まさか自分たちにも順番が回ってくるとは思っていなかったのか、家族や使用人の皆んなはびっくりしながら、体に清潔化の魔法を使っていた。
私もそうすればよかったか?
聞くと汚れない魔法をかけているから大丈夫とのこと。
『水:明らかに汚れた手では触らせないけどね』
ごもっとも。
流石にそれは私でも嫌だ。
大人たちの番になり、次々と撫でていく。
もふもふ祭りを見て、ずっとその姿でいてほしいと思ってしまう私。
もちろん人型も神々しくて好きだが、魅惑のもふもふを見てしまうとずっと触っていたい衝動に駆られる。
火の精霊様のハリネズミもお腹側はふかふかだし、雷の精霊様のタカも強い羽に覆われているが、もふもふだ。
そしてなんと言っても、時の精霊様の羊は最高級羊毛でなんと言っても、素晴らしい。
やっぱり、私が起きている間だけでも聖獣の姿でいてほしいものだ。
一通り撫でてもらった精霊様たちが、各々居心地のいい人の元でくつろぎ始める。
火の精霊様は父様の膝の上、水の精霊様はシア姉様の足元、土の精霊様はシア姉様の侍女見習いのトリアの膝の上というように、それぞれが居心地のいい場所で誰かと話すという構図が生まれた。
私のところへはそれぞれ入れ替わり立ち替わり訪れては撫でさせてくれている。
旅の後半は聖獣姿で私たちを癒し、和ませてくれた。
そんなこんなで馬車の旅も順調に進み、王都が見えてきた。
途中で聞いたが、精霊様たちが、軽い認識阻害と魔物よけの魔法を馬車にかけていてくれたらしく、予定の日数を2日ほど短縮できているらしい。
これで早くイル兄様やセレ姉様に会える!
とても楽しみだ。
訂正があり、修正しました。




