76.聖獣の姿
(1)0歳編
エリアーナSide
『風:姫様、子らよ。どうした?』
どうしたと言われると困る。
早くイル兄様とセレ姉様に会いたくなった。
シア姉様もヨシュ兄様も同じだろう。
普段は冷静に物事を見るようにと教わっているせいか、あまり顔に寂しさや悲しさを出さないヨシュ兄様。
反対に思ったことはちゃんと口にするシア姉様。
2人とも少しシュンとしている。
「リア:ねーねとにーに、会いたくなっちゃ……」
私の言葉にこくんと頷く2人。
寂しいよね?シア姉様もヨシュ兄様もまだ5歳だもんね。
少し困った顔をする大人達と精霊様たち。
「父:もうすぐ会えるよ」
わかっている。
でも早く会いたいし、寂しいのだ……。
『闇:気晴らしになるかは分からぬが、次はこれを見せよう』
すると、先ほどとは違いボンっと変身する闇の精霊様。
現れたのは、50センチほどの子供サイズの黒豹。
毛並み艶々、尻尾がしなやかに揺れ、凛とした顔の美人さんだ。
「リア:うきゃー!」
前世では動物アレルギーがあり、ましてや病院のベッドから動けない身だった私。
神様たちにも願ったが、もふもふが大好きなのだ!
目の前に魅惑のもふもふがいる。
どちらかといえば、黒豹はもふもふよりさらすべかもしれないが、この際そんなことはどうでもいい。
触らせてくれないかな?
手をワキワキさせる。
どこからどう見ても変質者だ。
赤子だから許され……るだろうか?
『闇:ふふ、姫様は好きじゃろ?馬車の中故、本来の大きさにはなれぬが、子らが3人くらいなら余裕で妾の背で寝れるぞ』
なんと!そんなに大きいのですか!?
『風:そちらの姿が良いのであれば、変身だ』
風の精霊様がそういうと、またボンっと精霊様全員が姿を変えた。
火の精霊様は赤色のハリネズミ。
水の精霊様は青色の犬。
土の精霊様はオレンジ色のうさぎ。
風の精霊様は緑色の猫。
雷の精霊様は黄色のタカ。
氷の精霊様は水色の猿。
光の精霊様は白色の虎。
時の精霊様は紫色の羊。
無の精霊様はピンク色のリス。
それぞれに姿を変え、大きさも最大で50センチほど、小さいと手乗りサイズになった。
色合いも淡い属性の色になった。
きゃーーー!!!
飛びつきたい!
抱きしめたい!
撫で回したい!
埋もれたい!
目の前に広がる光景を見ているだけで眼福。
目の保養と心の浄化である。




