75.小さな姿
(1)0歳編
エリアーナSide
風の精霊様の声に精霊たちが一斉に小さくなった。
見てみると、体が淡い属性色の光で包まれていて、大人の姿の時はない透明でキラキラした羽根が生えている。
とても可愛い!
『闇:どうじゃ姫様?』
「リア:かあいい!」
私のそばに飛んで来て問いかける闇の精霊様。
容姿は変わらず、大きさのみが変化しているようだ。
大きさは妖精サイズにしか変わらないのだろうか?
使える能力は一緒なのだろうか?
色々と聞きたいことはあるが、皆んなの前で話していいのだろうか?
『風:何か気になることでもあるのか?姫様』
((リア:気になるけど、簡単に話していいのですか?))
ハハっと風の精霊様が笑い、答える。
『風:この約1年見てきた人間達故、大丈夫だ』
そこで気になることをいくつか聞いてみた。
大きさはもう一段階変われて、使える能力は落ちるそう。
だから普段は大人の姿でいるそうだ。
その方が利点が大きいからと笑って答えてくれた。
変われる大きさは、10歳のイル兄様くらいの姿らしく、こちらも羽根付きらしい。
『氷:……見る?』
「リア:見たいれす!」
すると、体の大きさを変え、子供サイズになった……。
「シア姉様:兄様と姉様みたい……」
確かに。
早く会いたいな。
セレ姉様は、7の月までの1学期を終え、夏季休暇に帰ってきてくれたし、9の月のシア姉様とヨシュ兄様の誕生日にも週末を利用して転移魔法で帰ってきてくれた。
イル兄様は忙しいのか、7の月までの1学期を終え、少しの間だけ帰ってきてくれたが、またすぐに王都に戻られて以降会っていない。
後半分ほど馬車の旅を頑張って、年末には家族全員揃って新しい年を迎えることができる。
でも寂しい気持ちがなくなるわけではない。
私は兄弟の中では歳の離れた末っ子だ。
皆んなが可愛がってくれるが、優しいイル兄様とセレ姉様と中々会えず、来年からはシア姉様とヨシュ兄様も王都へ行ってしまう。
この国では、3歳の洗礼式までは生まれたところで暮らすという伝統がある。
神に守られている子として、あちこちを渡り歩いたりせず、静かに暮らすことで、病気や怪我をせず大きくなれるという迷信のようなものが信じられているからだ。
ただそれは決まりではないので、今回のように王都へ行くのは問題ない。
私やセレ姉様、ヨシュ兄様の寂しそうな顔を見たのか精霊様達が大人の姿に戻った。




