74.馬車の旅
(1)0歳編
エリアーナSide
あれよあれよという間に出発の時間になった。
今回はお留守番をする家令のオズバート、料理長のジョージ、庭師のローガン、家庭教師のイーサンとアニータがお見送りをしてくれた。
初めて乗る馬車は、空間魔法が使われ、普通自動車くらいの大きさなのに、中は観光バスのような広さだった。
ワクワクとドキドキで胸がいっぱいだ。
王都まで馬車2台で向かう。
1台は私たち家族と使用人の皆んなと精霊様達が乗り、2台目には荷物と護衛の人たちが乗って、馬車が動き出した。
イル兄様とセレ姉様の時のように転移魔法で行けばいいのだが、カルティール領ティジルは王国の東の端。
ここから馬車で15日ほどの道のりをお金をかけ行くことで、道中でお金を使い経済を回すことも貴族の使命の一つらしい。
いくつかの街を進み、宿を取るという工程で旅が進んでいく。
長旅なので子供にとっては退屈だ。
ずっと魔道具を起動させるわけにもいかないから中々馬車の窓にかかっているカーテンは開けられない。
幸い高級な馬車のためスプリングがしっかり効き、あまり揺れないし、お尻も痛くない。
流石に日本のようにアスファルトに自動車とはいかないけれど、前世含め初めてのお出かけ、初めての外の世界は素晴らしく快適だ。
それにバスの後方にはキッズスペースと、ゆったりできるソファーベッドがある。
家族、使用人、精霊様たち合わせて30人余りが乗っても余裕な広さで、軽く遊んだり、横になれるスペースを兼ね揃えた馬車での移動になんとか耐え、半分ほど進んだ頃、飽きてしまった子供3人と精霊様たち。
何かできることはないかと模索し、以前精霊様に聞いた変身の話を振ってみる。
((リア:精霊様、唐突に思い出したのですが、変身できるんですよね?見てみたいです!))
ほんとに唐突だ。
精霊様達も家族もびっくりしている。
『風:飽きてしまわれたか?姫様。何が見たいかの?』
優しい精霊様である。
小さくなったり、聖獣の姿になったりできると聞いていたが、何かと便利なのか、大人の姿のまま、飛んでいたり歩いていたり、姿を消したりしていた。
なので、ちゃんとその姿を見たことはないのだ。
「リア:小さい姿が見たいです」
暇になってきたのか、興味があるのか、大人達も精霊様達を見つめている。
『風:ではまず、妖精ほどのサイズになろうかの』
そういうと、するすると大きさを変え、手のひらほどの大きさになった。
訂正があり、修正しました。




