73.王都へ向けて出発
(1)0歳編
エリアーナSide
勉強と準備と、たまに息抜きと慌ただしい日々が過ぎ、出発の朝。
この日は朝早くに起こされ出発の最終準備、身支度をすると聞かされ、早めに寝た。
自然と目が覚め、周りを見ると父様が起きた時だった。
「父:起こしてしまったかい?」
小声で問いかけてくる。
((リア:楽しみで目が覚めました))
そういうと、優しく頭を撫でてくれる。
優しくて温かい大きな手だ。
しばらく撫でられていると、母様も起きた。
父様の手に加え、母様にも撫でられている。
((リア:おはようございます、母様))
華奢だけど、ふわふわな母の手。
2人に撫でてもらうのが何よりも好きだ。
「母:そろそろ2人も起こして準備をしましょう」
起こしていいそうなので、2人に抱きついて起こす。
すると寝起きのあまり良くないシア姉様もヨシュ兄様もすぐ起きてくれるのだ。
「「おはよ、リア。おはようございます、父様母様」」
ホニャホニャの顔で、両方から私に抱きつきながら挨拶をする2人。
「父:おはよう、準備をしようか」
そう言いながら、私を撫でていたように姉様達の頭も撫でる父様と母様。
顔を綻ばせる寝起きのシア姉様とヨシュ兄様かわよい!
まだ5歳のあどけなさと大人びた表情を混在させる2人。
朝はいつにも増して可愛いのだ。
起きたからには、ゆっくりもしてられず、簡単に身支度をし、食堂へ急ぐ。
ここで、精霊様達と合流するのが最近のルーティン。
「リア:おはようごじゃいましゅ、精霊しゃま達」
相変わらず舌足らず……。
1歳になったらもう少し、舌も回るようになると嬉しいな。
『『『『『『『『『『おはよう、姫(様)!』』』』』』』』』』
朝の挨拶をし、食堂へ入る。
そこにはすでにお祖父様とお祖母様がいて、お茶を飲んでいた。
「祖父:おはよう、皆んな」
「祖母:おはよう、よく寝れたかしら?」
元気溌剌なお祖父様と朗らかな笑顔のお祖母様に皆んなで挨拶をしてから朝食を摂る。
今日はこの後、身支度を完璧にして出発なので大忙しだ。
忙しいのに、バタバタとした様子を見せない使用人の皆んな。
さすが公爵家で雇われているだけあってすごい。
そんなことを思いながら、朝食を食べた。




