家族への報告
(1)0歳編
サイモンSide
コンコンーーー。
家族が待つサロンに着き、大きく深呼吸をして入室の許可を得る。
扉の向こうから男性の声で入室が許可され、部屋へ入る。
そこで待っていたのは、私の父でカルティール家現当主のジャンカルロ。齢49歳のガッチリとした大男。
先ほど、部屋への入室を許可した人物だ。
そして、私の母のエマ、私の子供たちと使用人たちが心待ちにしていた。
「どうだったんだ?」
「マリアと子供は?」
「男の子ですか?」
「女の子ですか?」
「「早くあいたいです!」」
父のジャンカルロを筆頭に、質問の嵐が降り注ぐ。
近くの椅子に腰掛け言葉を発する。
「それが……」
「何かあったの?」
どう説明しよう?何から言おう?
さっきまで冷静だったと思っていたのに、急に頭が真っ白になってしまった。
が、母子の無事をまずは伝えねば。
「マリアも子供も元気です。女の子でした。しかし……」
言葉に詰まる。
受け入れられていない自分がいるんだろう。
マリアの不貞を疑う気持ちは微塵もない。
万が一、億が一にもありえないし、あったとして銀色を持って生まれてくるはずがない。
だからそこはいいのだが、自分の中で消化できていないことをどう伝えればいいものか。
それに、家族に受け入れてもらえるのだろうか……。
などと頭でぐるぐる考えていると声をかけられた。
「何かあったのかわからないが、私たち家族はどんな子だろうとも皆等しく愛し、育てるぞ」
その言葉でぐるぐる考えていたことが吹き飛んだ。
そこからは、全てを家族に伝えた。
「実は、生まれた子供の髪と瞳が銀色だったのです。カルティールの色とも、マリアの実家の色とも違う髪の色を持っていて……。どうしたらいいかと各所に指示を出し、先生方と一緒に急いで来た次第です」
私が言い出すまで待っていてくれた先生方に感謝しつつ、助けを求めるかの如く状況を話し、返答を待つ。
父は、母は、子供たちはなんと言うのだろう。
どんな反応を返すのだろう。
今度はそんなことがぐるぐると頭を巡る。