52.念話
(1)0歳編
エリアーナSide
それから目の届く範囲で、目に入るものをよく観察するようになった。
まずこの世界は、中世ヨーロッパに近いが文明は発達していて、近代的だ。
もちろんこちらの世界に電気はないが、それを魔石で補っているために不便を感じることはない。
母様は、産後2日目で安静を言い渡されているようで、私の気になる質問にはなんでも答えてくれた。
ナニアも色々なことを教えてくれる。
なんでも彼女は女性ではこの屋敷で最高齢なのだとか。
それは物知りだ。
早く外の世界も見てみたい。
そうこうしていると、原初の精霊様たちが部屋にやってきた。
『『『『『『『『『『おはようございます、姫(様)、母君』』』』』』』』』』
一気に賑やかだ。
私は複数に送る念話を試してみる。
((リア:おはようございます、精霊様たち))
どうやら失敗してしまったようで、母様とナニアもこちらを向く。
『風:これは念話……姫様すごいですぞ!でもどうして?』
挨拶そっちのけで、ザワザワし出す。
そこで、昨夜の夢での出来事を話す。
母様やナニアにもダダ漏れだが、伝わったとは思う。
なるほどと、精霊様たちが呟くと、何やら相談をし始めた。
『風:母君、少し姫様と話をしたい。いいだろうか?』
了承を得ると、ササッと持ち運びできるゆりかごに、ふわふわの雲を敷き、そこに私を寝かせる。
『光:隣の部屋を借りる。手短に済ませるが、人払いをして安静にしておいて欲しい』
母様とナニアにお願いと釘を指し、隣室へ移動する。
無の精霊様が結界魔法と防音魔法を使用し、話を始める。
『風:ここからは姫様の念話の練習も兼ねて、我々も念話で話をしても宜しいか?』
頷けないので、念話で返す。
((リア:うん。今は上手くいってる?この部屋の精霊様たちを指定して話しているつもりなんだけど……))
すると無の精霊様が、完璧と教えてくれる。
そこで話されたのは、私の前世についてだ。
愛し子と言うだけでは辻褄が合わないことが出てくること、私も話しておいた方が楽ではないかということ、色々な観点から家族だけでも伝えておきたいと伝えられた。
((リア: )):対象が複数、またはその場の全員に向けて念話を使う時




