49.翌日
(1)0歳編
ジャンカルロSide
父たちに手紙を出し、今日あったことを整理し眠りについた。
先走って動いてもうまくいかないかもしれない。
手紙には、ひ孫が生まれたこと、元気な女の子で、母子ともに健康なこと。
できれば早めに会いに帰ってきてほしいことを簡潔にまとめ送った。
これで、きっと早く帰ってきてくれるだろう。
翌日ーーー。
精霊様の言った通り1時間早く起きる。
簡単に身支度を整えると、部屋の扉がノックされた。
「執事:旦那様、精霊様がお見えです」
まさかの部屋に突然現れるわけではなく、扉から来られるとは……。
『風:朝早くからすまない。朝の鍛錬について説明がしたかった故訪ねた。今いいか?』
突然姿を現すのは不粋故と笑いながら、登場された。
しかも、精霊なら普通は軽く浮かんでいるところをご自分の足で歩いている。
人の生活に入れてもらうのだからとのご配慮らしい。
なんとも有難いことだ。
「祖父:私共は準備できております。何からいたしましょう?」
隣で準備万端のエマも控えている。
『風:昨日分かれた得意属性ごとに精霊が教える。他にも、風が得意な子がおったであろう?迎えにゆくぞ』
風属性が得意なのは、孫のミハイルだ。
息子のサイモンはそれほど強い風属性は使えないが、孫のミハイルは私の幼少期よりさらに強い。
お世辞抜きに期待の星だ。
風の精霊様も、あれには期待しておると言ってくださった。
次々代のカルティール家も安泰のようだ。
精霊様と話をしながらしばらく歩き、ミハイルの部屋へ到着する。
すると、部屋の近くにいた使用人にここにはいないと告げられる。
聞くと、子供達は皆、サイモンと一緒に寝て身支度を整え、動ける場所へ向かったとのこと。
無駄に精霊様を歩かせてしまった……。
「祖父:申し訳ございません。どうやら鍛錬場に向かったようで、無駄に歩かせてしまいました!」
深々と頭を下げる。
すると、肩に手を置かれポンポンとされる。
『風:我は風の精霊。故に、誰がどこにいるかはわかっておる。だが、お主の子供や孫の話を聞くのは楽しかった。じゃから気にするでない』
昨日も思ったが、なんと寛容な方なのか……。
本当にありがたい。
孫達の部屋から鍛錬場は近いので、足早に向かう。




