48.夜は更け
(1)0歳編
ジャンカルロSide
祝いの晩餐がお開きとなり、妻のエマ、家令のオズバート、従者のロイス、侍女頭のグレイス、侍女のアマリエを連れて当主室へ。
原初の精霊様方とも分かれ、今後の話をする。
オズは生まれた時から気心の知れた存在、少しは多めに見てくれるだろうと、椅子に深く腰をかけ息を吐く。
「オズ:いきなりすぎるぞ。わからなくもないがな……」
「グレイス:色々と驚くことがあったんだもの、仕方ないわ。お茶をお持ちしますので少しゆっくりいたしましょう」
グレイスとアマリエがお茶を準備し、オズとロイスが上着を片付け、エマに膝掛けを渡す。
「エマ:ありがとう。それにしても、皆んな驚き疲れたわよね?お疲れ様」
グレイスが、エマにそっとお茶を差し出す。
疲れの取れるハーブティーだ。
「ジャンカルロ:何から整理すべきなのか……とりあえず、お茶を飲みながら考えよう」
皆がお茶を受け取り、各々椅子に座る。
いつもこのメンバーで一緒なので、他の者がいないときは楽にするように言ってある。
なので、話し方もフランクだ。
「グレイス:お孫様が生まれたことは喜ばしいこと。でも色々と衝撃が強すぎて、ちゃんとお祝いできた気がしませんわ……」
確かにそうだ。
思い返してみれば、お祝いらしいお祝いにならなかったかも知れない。
辺りを見渡すと、皆一様に頷いている。
愛し子だとか関係なく可愛い孫だと言うのに……。
「エマ:それに明日からは力の使い方について学び始めるわ。より時間がなくなるし、このままでいいのかしら?」
リアが生まれてきてくれて嬉しい気持ちと、驚きとこれからの予定に頭が正常に動いてくれない。
こうなれば、周りを巻き込み話を進めたほうがいいかも知れない。
「ジャンカルロ:父さん達にお帰りいただくか?」
今年、73歳になる私の両親。
今は世界各地を仲間と共に外遊している。
と言うより、当主を引退し仲間と冒険者活動していると言ったほうが正しいか?
数年に一度たまに帰ってはくるが、すぐにフラフラといなくなる。
だが、今回ばかりは助けを求めてもいいのではないだろうか?
「エマ:帰ってきてくださるかはわからないけど連絡はしてみてもいいと思うわ。なんと言ってもひ孫が生まれたのだし」
エマやオズ達も賛成してくれた。
善は急げとすぐに手紙をしたため、転移の簡易魔道具の前に置く。
宛先を指定し、魔力を流すと手紙は消えていった。
考えてみれば魔道具を使うことは魔法なんだろうな。
今まで何気なく使ってきたが、先ほど知った事実を思い返すと腑に落ちた。




