47.水の高位精霊に
(1)0歳編
水の原初の精霊Side
少しばかり反抗的な風の高位精霊に、素直な闇の高位精霊。
きっと過去の人間が犯した罪を許せずに抱えているのでしょう。
わたし達も少なからず思うところはありますが、契約を行った精霊達は果たしてしっかりと契約者に知識をつけさせたのでしょうか?
それとも知識が要らぬ方向に作用し、精霊の力を奪い取る精霊具なるものが誕生したのでしょうか?
わたし達原初の精霊は、愛し子様より先に生まれ、力を与えられました。
姫様を守るようにと……。
しかし、神界において大事にされてきた姫様の魂は、姿を消してしまい、わたし達は姫様を探すべく、神々と協力し、世界中あちこちへ出向いていました。
わたし達原初の精霊には、他の精霊とは違い、世界を守護する役割は与えられていないので、この世界に生きる生物とはあまり関らず生きてきたのです。
なので、態度のこうも違う2人の精霊に違和感を感じています。
私たちが普通ではないことは自覚がありますが、前途多難な道の始まりではないことを祈ります。
『水:水の高位精霊、ウィーネと言いましたね?あなたにも命じます。明日から姫様の家族は鍛錬を始めます。しかし、母君は姫様を出産したばかり。絶対に無理はいけません。なるべくそばにいて、魔法を使ったり、無理をしようとしたりするのを止めなさい』
水の精霊は、一瞬きょとんとした顔をしたが、確かにと頷き、命を了承しました。
姫様の母君は、きっと無理をするでしょう。
しばらくは光のをお目付役につけますが、それだけでは不十分を感じます。
なので、自分の契約精霊のウィーネをしっかりお目付役につければ、ちょっとやそっとじゃ無理をしない……と願いたいものです。
光のも、あの母はきっと無理をすると言っていますし、まだ半日未満の付き合いですが、思うところはあるのでしょう。
それに、姫様のご家族には伝えねばならぬことがあります。
力の使い方だけではなく、前世のこと。
辛く苦しい時間を過ごした姫様には癒しが必要です。
そのためにも、愛し子としてではなく、ただ猫可愛がりすることなく、たまには叱責もしてくれるような強く優しい家族の存在が必要。
私たちはその助けになりたい。
本当ならば、私たちだけでもいいと精霊界に閉じ込めてしまいたいところですが、それは前世を経験させてしまった神々の二の舞。
姫様が優しく暖かい家族を望むのならば、私たちにできることを精一杯するのみなのです。




