39.間違いを正す
(1)0歳編
エリアーナSide
『風:どうやらお主らは知らないことが多すぎるようだ。これはこの国では常識なのか?それとも世界的に知らなさすぎるのか……』
風の精霊様がぶつぶつと呟く。
「祖父:どうやらそのようです。私も生を受け50年になりますが、間違った知識なのか、単に知らぬだけなのか大いに知識不足で力を使っているようです。誠に申し訳ありません」
家族、部屋にいる使用人たち全員が祖父の言葉に続き、頭を下げる。
『風:きっとくだんの件で精霊たちにも怠慢が生じておるのかもしれん。しっかり姫様のためにも教える故、安心すると良い』
修羅場にはならずに済んだようだ。
それにしても、原初の精霊というのは、温厚な人に寄り添ってくれる精霊様らしい。
知識なく力を使っていたのに、契約破棄や怒りをぶつけるかと思ったのに。
難しい顔をしていたのか、闇の精霊様が声をかけてきた。
『闇:姫、どうしたのじゃ?』
(リア:いや、よくわからないけど、間違った情報のまま力を使っていたのに優しいなと思って)
『時:ボクらは姫様の家族だからこういう態度なだけだよ。他の人間たちの前には姿すら出さないし、人間は嫌いという精霊も多いよ』
私の家族だからと、寛容すぎないか!?
生まれたばかり、家族になったばかりだよ?
それを、“愛し子の家族”だからって、なんでも簡単すぎない?
今まで喋らず黙々と食事をしていた紫色の性別が分かりずらい時の精霊様が口を開き、発した言葉に心の中でツッコミを入れる。
『無:姫、百面そうしてる。でも自分たちはそういう存在だから。理解してとしか言えない』
百面相してたらしい。
そういう存在って……。
話についていけない。
愛し子ってまだまだ謎が多いな。
どんな力を与えられ、使命を与えられたかはわからないが、傾倒しすぎではないか?
心配になってきた……。
『風:時のや無のがいう通り。姫様やお主ら家族には慣れてもらうしかないので、諦めて欲しい。これから常にそばにいるのだ。色々と教えていく。知らぬなら学べばいいだけだからの』
諦めろと言われた……。
生まれて、7時間あまり。
前途多難である……。
訂正があり、修正しました。




