33.精霊たちの話し合い
(1)0歳編
水の原初の精霊Side
姫様が生まれたお祝いの席に招待してもらうことになった。
生まれた日に家族でのお祝いの食事を食べ、10日後に“お食い初め”と言うものをするらしい。
“お食い初め”とは、あらゆる食事を用意し、赤子の口につけ健康と食に困らないようにと願う行事。
長く生きているけど、わたし達にも知らないことがたくさんあるようだ。
食事について、土のが好みを語ると、祖母君の近くにいた使用人が部屋を出て行った。
食は、土のの領分。
わたしたちにはそれぞれ役割と性分が存在し、わたしの領分は生物に関係あること。
水がなければ生きていけないからだ。
『水:水と風の高位精霊はまだ来ないし、わたし達でもう少し今後について詰めておきましょ』
他の精霊が賛成すると、部屋に残っていた人たちが母君に声をかけて退出していった。
『光:母君、今から隣室で話し合いをするが、気にせず休んでくれ。声をかけるまで寝ておれば良い』
そう言って続きになっている洋室へ移動した。
移動するとすぐに闇のが口を開いた。
『闇:知識が偏っていて驚いたのぉ。歴史を繰り返さんとする心意気はいいが、精霊との間に距離がありすぎじゃ』
『無:だからと言って近すぎもダメ』
両者の言い分に相違はない。
確かに、人間にできることはまだたくさんある。
昔の方が、精霊と距離も近く自然が豊かだった。
豊かでも、横暴な者たちのせいで苦しめられ、消えていった精霊が多くいる。
それを忘れないように生きている今の人間に敬意を払うが、過去の過ちが消えないのも事実。
『風:じゃが、姫様が生まれた。これからは、精霊と人の距離が近くなるだろう。そのためにも準備は万端に、思いつく限りの作戦を立て、対応しよう』
『『『『『『『『『はい!』』』』』』』』』』
姫様のために、わたし達精霊がこれ以上傷つかないように……。




